「お世話になった過去」があるから銀行の要求を飲む!?
高齢の経営者と接していると、過去の経験からか、「銀行に助けてもらった」という思いを強く持っている方が結構おられます。その経験から、まさに、“銀行サマサマ病”が抜けきれず、銀行に対して、非常に慎重な発言をされます。
「あの銀行にはお世話になったから、多少の無理は聞いてあげないと・・・」
3月末や9月末、銀行から一時的な借入を依頼された経営者の「迷言」です。毎年どこかで聞きますね。ある事例では、その「迷言」を言い放つ経営者が、なんと83歳でした。どう考えても、その社長にお世話をした銀行の方は、その銀行にはもういないでしょうね。
銀行もそういう部分に弱い経営者であることを心得ていますから、「いやぁ、御社とは長くお取引をさせていただいており、当行一同、本当にいつも感謝しております」などということをおっしゃります。
銀行から依頼されたときは「交換条件」を出す
しかし今や、銀行の各支店には、支店長の裁量で、融資を決める権限はありません。ほぼ全て、決算書をもとに本店で決定される、格付け、いわゆる“スコアリング”によって、融資するかしないか、融資枠はいくらまでか、が決定されるのです。支店長との人間関係が影響する余地は、一切ないのです。
つまり、支店長が社長自身のためにお役に立とうと思っても、融資をしてあげようとしても、そんなことはできない時代なのです。権限がないのですから。
銀行から何かを依頼されたなら、こちらは交換条件を出せばよいのです。仕入れ業者に対してしていることと、同じことをすればよいのです。それができず、銀行からのお願い事を、ただ受け入れているだけでは、銀行にとってそれこそ、別の意味で、“ありがたいお客様”、ということになるでしょうね。