土地の売却をためらう経営者の「迷言」
高齢の経営者と接していると、過去の経験からか、「銀行に助けてもらった」という思いを強く持っている方が結構おられます。その経験から、まさに、“銀行サマサマ病”が抜けきれず、銀行に対して、非常に慎重な発言をされます。
「そんな勝手なことをして、銀行がなんと言うか?」
含み損のある土地を関連会社に売却しようとしたときの、ある経営者の“迷言“です。
その土地は銀行の担保に入っていました。その土地を関連会社に売却するわけです。で、その関連会社では購入資金を銀行から調達し、購入代金として、親会社に支払います。売却した親会社は、得た資金で借入金を返します。
“銀行サマサマ病”の経営者にとってみれば、担保に入っている物件を売ることはできない、そんな勝手なことを決めて、銀行から見放されないだろうか? という思いが強いのです。
売却代金で借入返済するなら、担保解除は問題なし
こんな場合、一緒に銀行に出向き、事情を説明します。すると銀行は大概、こう言います。
「どうぞ進めてください。関連会社での調達もぜひ協力させてください」
「丁寧にご説明に来ていただき、ありがとうございます」
あまりのあっけなさに、“銀行サマサマ病”の経営者は、拍子抜けしてしまいます。
銀行は今や、担保も保証もいらない時代です。全ては交渉の時代なのです。過去の土地担保は、売却代金により借入を返済するなら、了承していただけます。これを、有償解除というのです。
「いやぁ、昔とはずいぶんかわりましたねぇ・・・」と、ようやく“銀行サマサマ病”から解放された様子でした。