今回は、銀行交渉に有利な決算書作成のために知っておきたい「特別損失による費用の計上」について説明します。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「特別損失」として計上できる費用は少なくない

銀行スコアリングによる格付を上げるには、営業利益と経常利益をいかにして増やすか、ということを考えればよいわけです。

 

なかでも、「特別損失で計上できる費用はないか?」ということを考えねばなりません。

 

原材料費の場合。例えば、在庫の不良在庫を原価に含めて処理すれば、単なる原材料費として計上されます。が、不良在庫分を棚卸除却損とすれば、特別損失で計上できます。

 

修繕費の場合。例えば、爆弾低気圧で、どこかを修繕した、あるいは、台風被害で修繕した。これは、災害によって発生したものですから、特別損失で計上すればよいのです。

 

消耗品の場合。例えば、放射能検査に対応するために、検査機器を購入した。これも、一時的な環境変化に対応するためのものですから、特別損失で計上すればよいのです。

通常の営業以外の活動でかかった費用は「特別損失」

支払手数料の場合、例えば、訴訟関連で弁護士費用が発生した。これも、通常の営業外によるものですから、特別損失で計上すればよいのです。

 

人件費の場合、例えば、入札など長期的な見積もり対応で人件費がかかり、結果として落札できなかった場合、(特に建設関係など)その要した人件費を特別損失にすることができます。災害対応や災害支援なども同様です。明確に記録をしておけばよいのです。

 

いくつか挙げてきましたが、通常の営業以外のことでかかった費用であれば、しっかりと明記・記録し、特別損失にすればよいのです。ちょっとした手間ではありますが、その手間を惜しまない企業が、格付に有利な営業利益、経常利益を獲得できるのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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