(※写真はイメージです/PIXTA)

日本は本記事では<株式会社T&T FPコンサルティング>の髙島一夫氏・髙島宏修氏、<株式会社ユナイテッド・パートナーズ会計事務所>の西村善朗氏・森田貴子氏らによる共著『富裕層なら知っておきたいスイス・プライベートバンクを活用した資産保全』(総合法令出版)から一部抜粋し、日本経済が抱える「借金問題」が解決しない理由について解説します。

人類史上初の猛スピードで進行する「日本の高齢化」

内閣府の発表によると、2019年10月1日現在における総人口に占める65歳以上人口の割合は28.4%です。つまり日本は「4人に1人が65歳以上」という超高齢社会に突入しています。高齢化の勢いはとどまることがなく、今後50年以内に「3人に1人が65歳以上」になるとの予測も出ています。

 

こうした事態を受け、現在の社会保障制度を維持するのはすでに限界が来ているとの指摘もなされています。働き手が減り、給付を受ける高齢者が増えるわけですから、当然のことです。

 

もちろん、社会保障制度はその時々の状況に合わせて見直されていくものであり、それなりの改正は行われるでしょう。事実、厚生年金の受給開始年齢は制度が始まった1942年には55歳だったものが、現在は65歳まで伸びています。2022年4月からは、年金の受給開始年齢を繰り下げられる上限年齢が70歳から75歳に引き上げられ、政府は高齢者が働き続けられる社会を目指す姿勢を見せています。

 

しかし、このような対応も十分だとは言えません。なぜなら日本が迎えている少子高齢化は、人類史上どの国も経験しない速度で進行しており、制度改正では現実に追いつけないからです。

 

ここで、日本の高齢化がどれくらい速いのかを、他国と比べてみましょう。高齢化率(65歳以上人口の割合)が7%から21%に上昇するまでの年数で比較します。

 

日本の場合、高齢化率が7%を超えたのは1970年のことです。その後、21%に達したのは2007年。つまり、日本の高齢化率は37年かけて7%から21%に上昇しています。

日本は世界初の“超高齢化社会”を迎えた~世界各国の高齢化率と比較~

次に、他国において高齢化率が7%から21%になるまでにかかった、もしくは人口動態統計上かかると見込まれる年数は次のとおりです。

 

  • フランス:161年(1865年~2026年)
  • スウェーデン:136年(1890年~2026年)
  • ドイツ:82年(1932年~2014年)
  • 韓国:28年(1999年~2027年)
  • 中国:33年(2002年~2035年)

 

このとおり、欧州諸国において高齢化はゆっくりと進んでいます。このため、国民の意識改革や社会保障制度の改革にも時間をかけることができているようです。

 

たとえば、ドイツでは2013年以降、社会保障制度改革が進められ、介護保険や年金制度の見直しなど、安定的かつ持続可能な社会保障制度に向けた運用が行われています。

 

一方、アジアに目を向けると、韓国や中国も日本に劣らないスピードで高齢化が進展していることがわかります。しかし、高齢化率21%を迎えるのはまだ先のことです。日本の高齢化率がすでに30%に迫ろうとしていることを踏まえると、やはり日本が世界で最初に、しかも急速に超高齢社会を迎えていることは間違いありません。

 

今後、日本が移民を増やす方向に転換したり、AI(人工知能)などのイノベーションにより労働力を補ったりできる可能性はゼロではありません。しかし、そうした変化の効果が現れるまでには数十年単位の時間を要します。今の日本を生きる私たちは、やはり人口減少を前提として、資産を守る手段を考えていく必要があるのです。

 

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※ 本連載は、髙島一夫氏・髙島宏修氏・西村善朗氏・森田貴子氏らによる著書『富裕層なら知っておきたいスイス・プライベートバンクを活用した資産保全』(総合法令出版)より一部を抜粋・再編集したものです

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