日本の“超高齢化社会”の実態~国の経済成長に影響する「3大要素」~
高齢化が経済成長にとってマイナスになる理由は、成長会計から説明することができます。成長会計とは、GDP成長率の内訳に注目して成長の要因を明らかにしようとするもので、次の3つの要素が経済成長に影響すると言われています。
- 労働投入
- 資本投入
- 生産性
1:労働投入
人口が減少する影響として、最初に思い浮かぶのが「労働力の低下」ではないでしょうか。高度成長期の日本は人口増加によって労働力人口(15歳以上の人口のうち、「就業者」と「完全失業者」を合わせたもの)が増加する「人口ボーナス期」にありました。
人口ボーナス期では、多くの人々が働き収入を得ているわけですから、年金などの社会保障費の負担は少なくて済みます。政府は、国家予算をその分経済政策に重点的に充てることができるため、ますます経済成長が加速します。
一方、現在の日本は人口減少が続く「人口オーナス期」に突入しています。人口減少と高齢化が同時に進む日本では、「支えられる高齢者」の数が「支える現役世代」の数を上回るため、どうしても社会保障費は重たくなってしまいます。これは、現状の日本の財政状態を見れば明らかでしょう。
2:資本投入
人口が減少すれば、住宅へのニーズや、企業による資本設備への投資も比例して減ります。したがって、市場に投入される資本は減少し、やはり経済成長にはマイナスにはたらきます。貯蓄する若者は減り、高齢者は貯蓄を取り崩すため、日本社会で使える資金は減ることになるでしょう。
3:生産性
昨今は、デジタル化や働き方改革などが進められ、生産性の向上が図られていますが、実は生産性を高める一つの要素に「人口」があると言われています。なぜなら生産性向上には、既存のやり方を打破するイノベーションが必要であり、新しいアイディアをもつ若い世代が増加して、経験豊かな世代と融合することによってイノベーションが促進されることが期待できます。人口が少なくなれば、多様性が失われ、イノベーションにつながる種が少なくなってしまうかもしれません。これは、生産性の向上が停滞することにつながります。
2040年には現役世代1.5人が1人の高齢者を支えることに
このように、成長会計の3つの要素それぞれにおいて、鍵となっているのは「人口」なのです。経済成長のためには人口増加が望ましく、少子高齢化時代を迎えた日本が不利であることは否めません。
人口構成が変化するのはどの国も同じですが、日本は変化の速度が速いことも問題です。2022年には1人の高齢者を現役世代がほぼ2人で支える構造でしたが、2040年にはこれが1.5人で支えることになると予測されています。このような状況では、社会保障などの旧来のしくみが変化に対応しきれず、若者は将来の展望を描きにくくなり、持続的に経済活動を行っていくうえではマイナスになり得ます。
髙島一夫
株式会社T&T FPコンサルティング
代表取締役社長CFP
髙島宏修
株式会社T&T FPコンサルティング
取締役CFP
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