土地の「癖」は基本的にすべてが価格下落要因
評価単位が定まったところで、今度は路線価評価の考え方、基本についてご理解いただきます。
まず、面積や地形等の面で標準的な土地を前提に、その接面道路に地価相場を反映した路線価(㎡単価、単位は千円)を設定します。そして、この路線価に土地の面積をかければ、その土地の評価額が求められます。
下記にあげた図表にあるA地は路線価が100千円(10万円)で、面積が150㎡ですから、1500万円となるわけです。
しかし、各土地には図表に見られるとおり、いろいろな癖があります。そのほとんどすべてが土地価格の下落要因です。
逆に路線価の前提となっている標準的な土地とは、右から左に売れる「優良物件」と言うべき存在です。そこで評価規定は、こうした減額要因に応じて、図表の各土地の下に一例として示されている、いくつかの補正率を定めています。先ほどお話しした広大地補正率はその一つです。
ただし、結論的に述べますが、これらの補正率による減額率は実情を反映していません。減額幅が小さいため、ほとんどがかなり割高の評価額となっています(その唯一の例外が広大地補正率です)。
補正率が実情を反映していない具体例とは・・・
では、補正の一例として、目で見てわかりやすく、またあちこちで応用の利く不整形地補正率を説明しましょう。下にあげた図表2を見ながら読み進めてください(普通住宅地区の場合)。
まず正面路線を基に、対象地全体を囲む長方形を作ります(300㎡)。これを想定整形地と言います。そして想定整形地のうち対象地に含まれない部分を蔭地(図のアミカケ部分、100㎡)とします。
次に想定整形地に対する蔭地の割合(蔭地割合)を算出します(0・333)。なお、間口が狭い場合は間口狭小補正率も適用します。
最後に、対象地の面積に応じて、ABCに三区分された図の不整形地補正率表によりこの土地に適用すべき補正率を求めます(Aより0・90)。なおA・B・Cの三区分は、面積が広い土地のほうが不整形によるダメージが少ないことに注目したことによるものです。
つまり、図表2の対象地への不整形のための減額は1割です。
ところで皆さん、1割引きでこの土地をお買いになりますか? まず3割引き程度にしないと売れないでしょう。さらに言えば、不整形地補正率表からわかるとおり、最大の減額幅は4割どまりです。世の中には土地買収の残地その他、地形に起因してまったく使い物にならない土地もあります。
この例でわかるとおり、路線価評価の調整率は実情を反映していません。土地の相続税評価額に当たっては、まずこの点を念頭に置くべきと考えます。