ちょっと実績を出しただけで「自信満々」からの大失敗で「地獄の谷」に落ちた新米部下…上司がとるべき「正しい対処法」とは【マネジメントのプロが解説】

ちょっと実績を出しただけで「自信満々」からの大失敗で「地獄の谷」に落ちた新米部下…上司がとるべき「正しい対処法」とは【マネジメントのプロが解説】

仕事を覚えた若い部下が、「自信過剰」の状態になり、そこから「絶望の谷」に落ちるほど落ち込んでしまったら、上司はいったいどのように対処すべきなのでしょうか? 今回は、横山信弘氏による著書『若者に辞められると困るので、強く言えません』(東洋経済新報社)から、落ち込んだ部下への対処法を「ダニング・クルーガー効果」を用いて解説します。

部下を励ます必要がなくなるとき

 

「絶望の谷」に落ちると、自信が失われる。この失われた自信は、そう簡単には取り戻せない。

 

だから謙虚になってコツコツ鍛錬を積もうと努力するようになる。このフェーズを「啓蒙の坂」と呼ぶ。

 

私どもコンサルタントは、まさにこの「啓蒙の坂」を一緒に登る役割を担っている。3歩進んで2歩下がる。2歩進んで3歩下がる。このような繰り返しで、なかなか前に進んでいく気がしない。

 

しかし、それでも努力を繰り返すと、ドンドン視座が上がって、いろいろな世界が見え始めるものだ。

 

視座が高まり、広い世界が見え始めると、さらに謙虚になっていく。なぜなら、有頂天になっていた過去をたまに思い出して自分を戒めるからだ。

 

マネジャーはこのように部下と伴走しながら、謙虚な姿勢で「啓蒙の坂」を一緒に登っていこう。

 

「絶望の谷」に落ちるほどではないが、うまくいかないことも多い。だが、「啓蒙の坂」を登っている最中、部下は「他責」にすることがない。自分の力不足でうまくいかなかったとわかっているからだ。

 

そういう場合は、スルーすればいい心で見守るだけでいい。未来の成功のために、自分磨きにつき合ってやる。そうすることで部下の市場価値は上がっていく。

 

市場価値が高くなれば、同じようなプロフェッショナルと知り合う機会が増え、その成功者たちもまた謙虚な姿勢であるからこそ、感化され、さらに謙虚になっていく。

 

こうなっていくと、マネジャーが励ますことはほとんどなくなる。うまくいかなくて落ち込んでいる部下を見ても、安心して放っておくことができるはずだ。なぜなら、もうプロフェッショナルに近づいているからだ。

 

[図表3]謙虚になりコツコツ努力する「啓蒙の道」

 

身についた知識が知恵を生み、知性も身についていく。この状態が「継続の台地」である。長い道のりだが、順調なら5~10年ほどでこの域に達する。

 

マネジャーはそういうつもりで、励ましたり、スルーしたりを繰り返すのである(5~10年とはいえそう長くはない。早ければ20代でプロフェッショナルの域に到達する)。

 

[図表4]5~10年ほどで「継続の台地」に到達

 

横山 信弘

株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長

経営コンサルタント

 

※本記事は『若者に辞められると困るので、強く言えません』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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横山 信弘

東洋経済新報社

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