落ち込んでいる部下に絶対やってはいけないこと
誰だって落ち込むときはある。特によかれと思ってやったことが裏目に出たり、努力の方向性が間違っていたりしたときには、いっそう強く落ち込む。部下がこのような状態にあるとき、マネジャーはどう対応すべきか。励ますのか? それともスルーするのか?
もちろん答えは1つではない。いろいろなケースで考えるべきであろう。ただ、どんなケースであってもマネジャーがやってはいけないことがある。それが「不幸自慢」だ。
「そんなことで落ち込むなよ。俺なんて、社長から『お前なんて二度と顔を見たくない』とまで言われたことがあるんだから」
部下を勇気づけようと、自分の過去の恥ずかしいエピソードを披露するのだろう。だが、ほとんどのケースで、上司の思惑どおりにはならない。
「落ち込んでいたって、何もいいことはない」
そんなことは本人が一番よくわかっている。頭では理解できているのだ。にもかかわらず、理性では感情をコントロールできないからこそ落ち込むのだ。自己嫌悪するし、自信喪失する。
そんな状態の部下に、不幸自慢したって気休めにもならない。もしも上司の不幸自慢ごときで気分が晴れるぐらいなら、部下はたいして落ち込んでいなかった、と捉えよう。
では、理性的になれない部下に、どう声をかけるのか? 部下自身に問題がある場合はスルーせず、教育し、時には叱咤激励するのが適切である。
逆に、部下自身の責任ではない場合は、軽い声かけにとどめ、基本的にはスルーする。それぞれのケースに応じて、適切な対応をとることが重要である。
それはなぜか? 具体的な事例とともに、解説していく。
なぜ「落ち込んだ要因」を誰かに話すとダメなのか?
まずは、自身の問題ではないケースだ。ビジネスにおいては、自分の思いどおりにならないこともあるだろう。というか、いろいろなことに挑戦している人は、そのほうが圧倒的に多いはずだ。
だからこそ、うまくいかないことがあったとしても気にすることはない。どんなに努力しても、無理なものは無理なのだ。最善を尽くして、それでも成果が出なければ仕方がない。大事なことは、やれることは全部やり切ったのかどうかである。
マネジャーは、常にそのことを部下に伝えておけばいい。