(※写真はイメージです/PIXTA)

株の配当利回りが高ければ、その企業の経営状態も安定していると考える人は多いでしょう。しかし実際は、高利回りでも経営難に陥っている企業などもあり、ただ「高配当だから」という理由で選ぶと思わぬ落とし穴にハマることもあります。そこで本記事では『高配当10倍株投資 「高利回り×高成長」で資産を4倍速で増やす!』(KADOKAWA)から、著者の〈児玉一希 氏〉が高配当株選びで注意すべき点を解説します。

④ 業績が良くても低時価総額

 

長年割安に放置されてきた日本株には、企業として素晴らしい製品を提供していて業績もいいのになぜか買われていない優良株が多数存在します。ただし、時価総額の低い銘柄は注意してください。

 

大前提として、長期的に株価が上がっていくには何百億円、何千億円という資金を投じる大口投資家の参加が欠かせません。ただ、数億〜500億円といった低時価総額の銘柄ですと、そもそも大口資金が入らず、長年株価が上がらないままということになってしまいます。

 

会社の資産よりも時価総額の方が低い=「PBR1倍割れ銘柄」が東証の半数を占めていることもあり、2023年3月に東証がその是正に乗り出したくらい、時価総額の低さは問題視されています。

 

2022年に急騰した三ツ星ベルト(5192)は、決算で配当性向を100%に引き上げるという大幅な増配で、それがサプライズとなり急騰しましたが、それまでは企業として業績が良くてもほとんど買われず、長年株価は停滞したままでした。

 

この時の三ツ星ベルトの時価総額は22年4月時点で614億円、中小型株の部類に入ります。株の取引数を示す出来高は2022年の4月まで5年間で毎月70万株から150万株程度、月間の売買代金も15億円程度でした。

 

1日に換算すると7,500万円程度の売買代金ですので、個人で動かしてしまえるぐらい小さく、ほとんど参加者がいない状態です。こうなると株価はなかなか上がりません。

 

しかし、2022年5月の決算で、配当性向100%という大幅な株主還元を発表し、その後出来高は最大で7倍、2023年9月の売買代金は245億円と以前の水準の10倍以上になっていますので、結果、株価対策に成功しました。

 

日本の時価総額が小さい高配当株の中には22年4月以前の三ツ星ベルトのように、会社としてしっかり業績を上げていても、配当利回りが高くても、将来性の不透明さや利益率の低さなどで投資家から評価されず、時価総額が小さいまま全然上がらない銘柄も多数あるということを覚えておきましょう。

 

⑤ 業績好調が長続きしない

長期投資ではやはり安定して業績を残す企業に投資しなければなりません。しかし、高配当株の中には一時的に業績が好調になっても続かないケースが多々あります。

 

代表的なのが近年の海運株。新型コロナウイルスの影響で港の港湾員とコンテナが不足し、運賃が跳ね上がったことによって業績が急上昇しました。代表的な日本郵船(9101)は、配当金が3年間で40倍になり、一時期は配当利回り15%を超えることもありました。

 

しかし、コンテナ船の混雑が解消され、運賃と市況が低下すると、以前のような配当を出すのは難しく、2024年3月期は前年の配当金の1/4である130円、利回りも3%程度に落ち着きました。

 

このように、運賃や資源価格など外部環境によって業績が推移する銘柄を「市況株」と言いますが、ビジネスモデル上、どうしても好不調のアップダウンが激しく、配当もそれに連動します。

 

そうなると、当初見込んでいた利回りを実現することができなかったり、安定しなかったりすることがあります。

 

また、企業によっては、創立○○周年や好業績などで通常の配当に上乗せする「記念配当」を出すこともあります。その場合、翌年は記念配当の上乗せがなくなり、減配となります。

 

近年だとNIPPON EXPRESSホールディングス(日本通運)(9147)が22年12月期に記念配当を実施しましたが、翌年はその分が削減され、300円に減配しています。

 

記念配当自体は悪いことではありませんが、大幅な増配があった場合、それが一時的なものではないか確認しましょう。

 

 

児玉一希

株式会社RES 代表取締役 

 

※本記事は『高配当10倍株投資 「高利回り×高成長」で資産を4倍速で増やす!』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

 

 

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