(※写真はイメージです/PIXTA)

株の配当利回りが高ければ、その企業の経営状態も安定していると考える人は多いでしょう。しかし実際は、高利回りでも経営難に陥っている企業などもあり、ただ「高配当だから」という理由で選ぶと思わぬ落とし穴にハマることもあります。そこで本記事では『高配当10倍株投資 「高利回り×高成長」で資産を4倍速で増やす!』(KADOKAWA)から、著者の〈児玉一希 氏〉が高配当株選びで注意すべき点を解説します。

② 借り入れが多く利払いが利益を圧迫している

財務状態の悪化も見過ごせません。借り入れ=利息のついている借金のことを有利子負債と言います。この有利子負債が多い企業ほど株価下落のリスクがあります。

 

特に近年は世界中の国でインフレを抑えるために金利高が続きました。米国は2022年から23年の夏までに1年半で0%から5%に政策金利を引き上げてようやく止まりそうな気配に。

 

日本も長らく続いたゼロ金利政策を修正する流れになっています。金利が上がると企業が抱える借金の利息も上がりますので、それが利益を圧迫します。

 

高い配当を出す企業は、ただでさえ企業の外に出て行くお金が多いので、さらに負債の負担まで増えると株価下落のきっかけになります。一例をあげますと、日本の不動産REITがあります。

 

私が実際に投資していたヘルスケア&メディカル投資法人(3455)という銘柄があります。4%以上の配当利回りがあるのですが、2022年12月に日銀が低金利政策を見直す少し前から下げ始め1年間で33%も下落してしまいました。

 

不動産は事業の性質上、多額の借り入れをして収益を出していくビジネスモデルですので、どうしても負債割合が高くなります。ヘルスケア&メディカル投資法人も有利子負債が自己資本(=自分の元手資金)とほぼ同じくらいあり、これは不動産投資法人の中でも高い方に入ります。

 

実際に金利上昇に伴って創業以来初めて物件を売却するなどマイナス材料もあり、本書執筆時点では株価が大きく下がりました。

 

ただ、借り入れが多いこと自体は必ずしも悪いことではありません。借金をしてまでも会社の事業を伸ばすチャンスなのであれば、借り入れが必要な時もあります。

 

ただし、さほど業績が変わっていないのに借り入れが増えている場合、事業が苦しい可能性もありますので注意が必要です。

 

その有利子負債が本業の収益の何年分に相当するか見るのが「有利子負債倍率」です。有利子負債倍率は次のような計算式になります。

 

有利子負債倍率 = (有利子負債 ー 現預金) ÷ (営業利益 + 減価償却費)

 

この指標は借金の返済能力を表しており、倍率が低いほど返済能力があり余裕があるということです。

 

業種によって違いますが、個人的にはこの有利子負債倍率は1倍未満が望ましいです。もし今すぐ借金を全額返さなくてはいけなくなっても、理論上は手元資金の方が多ければ返済能力があると言えるからです。

 

③ 異常に高い配当利回り

配当利回りが異常に高い場合も注意が必要です。配当利回りの計算は次の通りです。

 

配当利回り(% ) = 配当金額 ÷ 株価 × 100

 

配当利回りが高くなるためには、配当金が上がる、または株価が下がるのいずれかのパターンになるのですが、「株価が大きく下げて利回りが急上昇」している場合は注意が必要です。

 

高配当株のランキングを見てみると、上位には利回り10%を超えるような銘柄もあったりしますが、その銘柄の株価チャートを見てみてください。たいていの場合、長期間にわたって株価が下げ続けているケースが多いはずです。

 

高配当の定義は曖昧ですが、私としては利回り4%以上と考えています。その水準をはるかに上回る10%を超えるような高配当株は気をつけた方がいいでしょう。

 

本当に増配を続けていて業績に問題がなく、たまたま今の株価水準から利回りが高騰している場合もありますが、いずれにせよ、その背景を考えなければなりません。

 

高利回りでも株が買われていないので、それだけ企業に対する評価が良くないと言えます。先に紹介したスリーエムやAT&Tのように、配当利回りが10%近くなっていたとしても、株価の暴落や無配転落が危惧されます。とにかく利回りの高さだけで投資判断をしないでください。

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