投資の成功確率をグッと上げる2つの指標とは?
失敗を避け伸び続ける企業に投資するには、2つの視点を重視する必要があります。さっそく見ていきましょう。
(1)利益率・キャッシュフローが改善している
高配当の源泉は利益です。効率よく稼げている企業はその分だけ配当金も続きやすくなります。端的に言うと、「稼げる企業に投資しましょう」ということです。
稼ぎの基準で私が重視しているのが売上高営業利益率と営業キャッシュフローです。売上高営業利益率はその名の通り、売上のうち何%が利益になったかという指標です。一般的には10%以上あれば高いと言われ、20%を超えているとかなり高い利益率になります。
利益率が高ければ、企業がそれだけ付加価値の高い製品サービスを提供している証です。ですので、利益率が高いに越したことはないのですが、最初から高くなくても徐々に改善されつつある企業があれば要注目でしょう。
利益率が改善される背景には企業の製品サービスが評価されるようになったり、コストは変わっていないのに売上自体が大きく伸びていたり、何かしらプラスの変化が起きているはずです。そうすると企業は人員の採用や事業投資にお金を回せるようになりますし、それが巡り巡って増配や自社株買いにもつながってきます。
例えば、海運株の「日本郵船」は、2020年から23年にかけての営業利益率を見ると、2020年2.32%、2021年4.45%、2022年11.79%と急激に改善しています。この間に株価は9倍以上になりました。
また、もう1つ注目したい指標として営業キャッシュフローがあります。キャッシュフローとは、手元に流れる現金のことをいいます。会社の売上・利益の多くが発生主義で記録されます。
発生主義とは、取引が発生した時点で、収益や費用を計上する会計方法です。これは現金が実際に受け渡された時点ではなく、取引が発生した時点で会計記録を行うことになります。つまり、記録上は売上が立っているだけで実際の入金タイミングは別です。
フリーランスの方であれば、「今月の売上が記録上立っていたとしても、入金は翌々月」といったことがあると思います。そのため、帳簿上の取引ではなく、実際に手元に残る現金をキャッシュフローと言います。
キャッシュフローが潤沢で、継続的に積み上がるほど企業の財政は安定します。そして本業で生み出したキャッシュフローのことを、営業キャッシュフローと言います。
営業キャッシュフローが高いと、それだけ本業で現金を稼げているということになります。キャッシュの余裕があるので、危機に強いのはもちろん、一時的に利益が変動しても配当金を出し続けられやすいのです。
保険会社や銀行は、顧客から大量の資産を預かっていますので、キャッシュフローが潤沢です。そのため、配当利回りが高く、減配というケースはなかなか見かけません。
営業利益率はあくまで帳簿上のものなので、事業活動の結果、手元に現金=営業キャッシュフローをちゃんと残せているかどうかも確認するようにしてください。
ここで、改めて優良企業を探すのに欠かせないキャッシュフローについて解説していきます。キャッシュフローとは、その名の通りキャッシュ(現金)の流れのことです。一定期間において、どのくらいの現金が流入し、流出したのか、つまり実際のお金の動きを示します。
キャッシュフローは大きく3つに分かれます。
●営業キャッシュフロー:こちらは本業の活動によるキャッシュフローの増減を指します。これは基本的にプラスであるべきです。営業キャッシュフローがプラスであることは、本業が順調に運営されていることを示し、逆にマイナスの場合は本業で苦戦し、現金が不足していることを示します。
●投資キャッシュフロー:こちらは、機械、不動産、車両などの固定資産や、株式や債券などの証券の取得や売却に伴う現金の増減を指します。通常、営業活動を行うためには、設備や固定資産への投資が必要です。
そのため、成長している優良企業は投資キャッシュフローがマイナスになることが多いものです。逆にプラスの場合は、会社が持っている設備や証券を売却した金額が投資に使われた金額を上回っていることを示します。
●財務キャッシュフロー:こちらは、現金の調達や返済における増減を示します。たとえば、借金を返済した場合、手元の現金が増えるため、財務キャッシュフローはプラスになります。逆に、株主に配当を支払ったり、株式を買い戻したりすると、現金が減少し、財務キャッシュフローはマイナスになります。
財務キャッシュフローの増減については、企業の成長ステージによって解釈が異なります。成長企業は通常、投資キャッシュフローがマイナスで、財務キャッシュフローがプラスになる傾向にありますが、その理由についても調べる癖を持ちましょう。