〈高配当株投資〉業績悪化・無配転落…そんな“最悪期”こそ「お宝ポジションの芽」を見つける絶好のチャンスと捉えるべき理由【2万人を指導した投資研究家が解説】

〈高配当株投資〉業績悪化・無配転落…そんな“最悪期”こそ「お宝ポジションの芽」を見つける絶好のチャンスと捉えるべき理由【2万人を指導した投資研究家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

できるだけ失敗を避け、伸び続ける企業に投資するには一体どうしたらよいのでしょう。本記事では『高配当10倍株投資 「高利回り×高成長」で資産を4倍速で増やす!』(KADOKAWA)から、著者の〈児玉一希氏〉が、高配当株投資初心者に向けて「投資の成功確率」をグッと上げるためにチェックすべき2つの指標と、最悪期の乗り越え方を詳しく解説します。

底打ちをシンプルに見分ける2つの指標

私が株を買う基本方針は、全体地合いが悪化後、底打ちしているタイミング「のみ」を狙うことです。チャンスは月に1回あれば良い方で、できれば年に2~3回、何かの悪材料でしっかり暴落し市場全体が総悲観である時が理想のタイミングです。

 

そこで、地合い最悪期からの底打ちを見極める日米で代表的な指標を2つ紹介します。

 

底打ちを見極める指標① 日本の代表的な指標 騰落(とうらく)レシオ

騰落レシオは、株式市場の全体的な強弱を測る指標の1つ。別の言い方をすれば温度計のようなものです。市場全体の「上昇銘柄数÷下落銘柄数」の比率をパーセントで表しており、株式の買われすぎ・売られすぎを把握するのに役立ちます。

 

買われすぎでも売られすぎでもない状態だと騰落レシオ=100(%)となり、その上下を利用して市場の状況を判断します。騰落レシオが100%より高い場合、上昇銘柄が下落銘柄より多いことを意味しますので、市場全体が株式に強気であることを示します。逆に、騰落レシオが100%未満の時は下落銘柄の数が上昇銘柄より多く、株式に弱気であると言えます。

 

私の場合、東証プライム25日騰落レシオを活用し、90台に下げてから株買いを検討、80台以下で本格的買い付けに入ります。一般的に、騰落レシオが極端に低い場合、市場が過度に悲観的である可能性があり、トレンド転換のシグナルになります。

 

逆に120を超えるなど、過熱している時には絶対に手を出しません。これに気を付けるだけでも、塩漬けの原因となる高値掴みを防ぐことができます。

 

底打ちを見極める指標② 米国の代表的な指標「VIX指数(恐怖指数)」

米国株のVIX指数(恐怖指数)とは、その名の通り市場が感じている恐怖を数値化したものです。

 

VIXとは、ボラティリティ・インデックスの略称で、暴落が起きて市場の変動幅が大きいと、VIX指数は高くなります。逆に、VIX指数が低い場合、投資家は市場が安定し楽観的な見方をしていると表されます。

 

VIX指数と株価は反比例して動きます。市場の暴落期はほぼ例外なくVIX指数が高騰します。近年は30台、2020年のコロナショック暴落時には85を付けました。VIX指数がここまで高騰することはなかなかなく、言い替えれば市場の恐怖が最高潮に達し、それ以上に最悪な状況は考えにくいといった状況です。

 

株の最高の買い時は市場が総悲観の中で生まれるのです。そのため私は米国のVIX指数が高騰した際には、頂点を付けて低下する場面を注意深く狙います。

 

もちろん、VIXが全てのリスクを完全に反映しているわけではないので、投資判断の際には他の要因も考慮するべきですが、「1年間の中でもなかなか起こり得ない」恐怖が発生しているからこそ、底打ちの見極め指標として信頼性が高いです。

 

最悪期の中にお宝ポジションの芽がある

 

企業の業績が悪化したり、配当を出していた銘柄が無配に転落しても、必ずしも悲観する必要はありません。実は、そういった時に大きな投資チャンスが隠れていることがあります。悪材料に満ちた中で、株価はなぜかスルスルと上昇することがしばしばあるからです。

 

たとえば、日本製紙(3863)は近年、物価上昇や販売不振により業績が低下傾向にありました。2022年8月の決算では、長年続けてきた配当が無配に、最終利益も4年ぶりの赤字に転落しました。この決算発表直後、大陰線が出現し出来高が急増しているため、一見すると前述した暴落パターンに当てはまっています。

 

しかし、その後2023年にかけて、株価は10月の安値から翌23年9月まで約70%上昇し、Ⅴ字回復しました。日本製紙の株価を長期的に見ると、業績停滞の懸念から株価は下落していましたが、配当のカットが最悪の材料出尽くしとなり、そこから株価が反発したのです。

 

このように、企業としては一見悪い出来事であっても、株価反発の起点になるのです。赤字転落やリストラ、事業の縮小なども同様です。

 

ここで重要なのは、いずれの出来事も株主にとっては「利益を残しやすくする施策」であるということです。一般的な目線だとネガティブに見えても、投資家の視点からすると、これらは実はチャンスであるとも言えます。

 

たとえば、日本電気硝子(5214)も2023年上半期で赤字に転落しましたが、同時にコストカットも進め、株価は反比例するかのように上昇し、2024年を見ると1.5倍近くに上昇しています。悪い材料があるからといって過剰に心配することなく、むしろその中にチャンスがないかを考えてみてください。

 

以上のことからも、状況が悪い時こそ前向きに、良い材料がないか、これ以上悪化することはないか、株価が実はひっそりと上昇していないかを考えると、千載一遇のチャンスに遭遇する可能性が高まります

 

 

児玉一希

株式会社RES 代表取締役 

 

※本記事は『高配当10倍株投資 「高利回り×高成長」で資産を4倍速で増やす!』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

 

 

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児玉 一希

KADOKAWA

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