好調な業績をキープしている企業が行う「連続増配」
高配当株の魅力の1つとして「連続増配」が挙げられます。企業が毎年配当金を引き上げるもので、長期で株を保有すればするほど当初の投資資金に対し配当利回りが上がっていきます。
日本でも連続増配年数トップの花王をはじめ、KDDI、三菱HCキャピタル、小林製薬など20年以上増配を続けている企業が多数あります。米国株はさらに凄まじく、P&G、ジョンソン&ジョンソンなど60年以上連続増配している優良企業も存在します。
連続増配するということは、毎年配当金を引き上げなければならないということなので、企業は継続して業績を伸ばし続けなければいけません。浮き沈みがあるビジネスの世界において、長年会社から出ていく配当金を増やし続けるという、まさに離れ業をやってのけているのです。
何十年も増配を続けている企業であれば来年も配当金を上げる確率は高いですし、継続して利益が上がれば長期の株価上昇にもつながります。しかし、中には連続増配していても、業績が頭打ちもしくは下降曲線をたどる企業もあります。そういった企業の株価が良い結末を迎えることはあまりありません。
赤字でも連続増配を続けた結果……
たとえば、米国の通信会社であるAT&T。日本でいうNTTドコモやKDDIに当たるインフラ企業で、36年にわたり増配を続けてきました。
しかし、2016年ごろから株価下落が顕著となりました。その理由として、携帯加入者の伸び悩みで通信料収入が上がらなかったことが挙げられます。そのため、衛星放送局のワーナーメディアを買収しコンテンツの高付加価値化を図りましたが、ネットフリックスやアマゾンプライムなどとの競合が激しく2020年には赤字に転落してしまいます。
それでも当初は増配を続けました。業績が伸び悩めば最終利益は減ります。一方で、配当金は最終利益から支払われるので、いわば収入は減っているのに支出は毎年上がり続ける状態だったのです。
そうなると、結果として手元にお金が残らず、企業が成長のためにお金を使えなくなって株価も下がります。