(※画像はイメージです/PIXTA)

簡単に家族関係を崩してしまう「相続争い」。特に不動産を代々継承している地主の場合、早め早めの準備が肝要です。本記事では、次男という立場で亡き父から不動産を受け継いだ三田博氏(仮名)の事例とともに、地主の相続対策について、ティー・コンサル株式会社代表取締役でメガバンク・大手地銀出身の不動産鑑定士である小俣年穂氏が解説します。

不動産コンサルと税理士に相談

不動産コンサルタントの真田と税理士の里見は依頼者である三田博と面談を行った。真田らは依頼者から過去の経緯や所有している不動産、承継に対する思いなどを聴取した。依頼者の課題を整理すると以下のとおりである。

 

・相続人が実質長男の1名であり相続税に不安を感じる
・もめる可能性は少ないものの、孫がいないため長男から先の承継に不安を感じる
・本人が82歳であり承継までの残り時間が少ないと感じている

 

真田らは不動産や借入のほか家族構成を詳細に聴取するとともに、三田家の所有不動産をすべて確認のうえ事務所に戻ることとした。

カギは「その先の継承」も意識すること

真田と里見は所有不動産の整理および借入についての整理を行った。

 

所有不動産を整理すると、課税資産は主に不動産で約10億円、相続税試算額は約4億円である。夫婦それぞれが同額程度有しており、1次2次で約9億円と試算された。ただし、昨今の周辺地区の不動産価格の上昇を勘案するとさらに高額となる可能性もある。

 

法人化は10年前から設立してスタートしており、この10年間の内部留保もあるが個人の手許資金と合わせても4億円程度足りないことが判明した。

 

不動産の購入を行いながら、納税額を抑制していく取組が必要である。しかし、納税額に目途をつけるだけでは不十分だ。その先の承継について、道筋をつけることが最大の課題であると感じた。

 

 

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