富裕層の資産形成に伴走する「プライベートバンカー」。プライベートバンカーたちは、富裕層にどのような提案やアドバイスを行っているのでしょうか。メガバンク出身の公認会計士・税理士の岸田康雄氏が具体的な内容を解説します。
プライベートバンカーは、どんな運用アドバイスを行っている?
プライベートバンカーは、顧客に全体最適な総合提案書を提供します。この提案書は、「ファミリーミッション※と現状分析」「相続・事業承継と資産運用に関する提案」そして「モニタリング」の3部分から成り立っています。顧客の目標を実現するための時期や必要な資金、リスク許容度を考慮して資産配分に反映させます。
※ 一族の繁栄のため、ビジョンや目標等を定め、行動指針を示するもの
このとき、リスク許容度と期待リターンに基づいて資産配分を決定しますが、顧客のリスク許容度については慎重に評価する必要があります。リスク許容度を超えて大きな損失が発生した場合、顧客の信頼を失ってしまうからです。
プライベートバンカーは、お客様から資産運用を完全に任せられる場合もあれば、アドバイスのみを求められる場合もあります。また、モニタリングや報告の頻度は事前に明確にします。つまり、プライベートバンカーはお客様に期待されるサポートの範囲を理解して動くのです。
お客様との契約については、投資助言契約や投資一任契約もありますが、投資信託の販売だけにとどまるケースが多いようです。
プライベートバンカーは、顧客がファミリーミッションを実現する資産運用において、リスク許容度に合っているか、将来のキャッシュフローが適切に設定されているかをアドバイスします。資産運用の成績を決めるのは、資産配分です。最適なポートフォリオは、無リスク資産とリスク資産の組み合わせによって調整します。
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
平成28年度経済産業省中小企業庁「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。中央青山監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント営業部、みずほ証券投資銀行部M&Aアドバイザリーグループ、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部不動産投資グループなどに在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継とM&A実務を遂行した。現在は、相続税申告と相続・事業承継コンサルティング業務を提供している。
WEBサイト https://kinyu-chukai.com/
著者登壇セミナー:https://kamehameha.jp/speakerslist?speakersid=142
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