会社員の夫を亡くした子育て中の妻…遺族年金がもらえない場合
公的な死亡保障である遺族年金だが、日本ではどれほどの人が、どの程度の金額を手にしているのだろうか?
厚生労働省の『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、遺族基礎年金の受給者はおよそ9万人、1ヵ月の受給額は平均8万4,352円、遺族厚生年金受給者はおよそ577万人、1ヵ月の受給額は平均8万1,540円だ。
元会社員を亡くした子育て中の妻なら、遺族年金だけで平均月17万円程度だが、さらに児童手当等の給付金が支給されれば、月20万円は超える可能性が高い。これなら、当面の生活費は公的保障だけでどうにかなりそうだ。
だが「子育て世帯=必ず遺族年金がもらえる」とは限らないのをご存じだろうか。
たとえば、40代で、子どもを2人持つ女性が夫を亡くしたとする。遺族基礎年金が月10.4万円、遺族厚生年金が平均額だとすると、合計月18.5万円を手にできるはずだ。
だが、この女性がそれなりの役職についたキャリアウーマンであり、大卒女性の上位4%しかいない「年収850万円以上/所得655万5,000円以上」だったらどうか?
その場合、遺族年金は受け取れない。
遺族年金の受給対象の要件として「亡くなった人に生計を維持されていること」があるのだが、そこには「前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であること」という収入要件がある。大卒女性の上位4%のキャリアウーマンはこの要件をクリアできず、遺族年金をもらうことはできない。
それだけ稼げるなら、別に国が助けなくても、子どもを抱えてシッカリ生きていけるだろう?
ということなのだろうが、必死でキャリアを積み、歯を食いしばって働いてきた当人からすれば、悔し涙の出るような不条理な話ではないか。夫を亡くしたうえ、遺族年金の受給もできないとなれば、まさにダブルパンチである。
現在では、専業主婦世帯は減少し、共働き世帯が多数派となっている。働く女性が増えたいま、夫がいなくなっても大丈夫、一馬力で家計を維持し、子育てだってやってのける…という人は、ますます増えていくのだろう。
遺族年金の収入要件は時代に取り残されたまま、多くの人にとって少なからぬ疑問が残る制度になっているといえる。
[参考資料]
\1月20日(火)ライブ配信/
調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【12/9開催】
「資産は借りて増やせ!」
3年間で延べ1,500社以上を担当した元銀行トップセールス社長が語る
“新規事業×融資活用”で資産を増やすレバレッジ経営戦略
【12/11開催】
企業オーナー・医療法人のための
事業と個人の安心を守る「グローバル資産戦略」
〜実例で学ぶ 経営資産の防衛と承継設計〜
【12/13-14開催】
不動産オーナーのための「法人化戦略」
賢いタックスプランニングで“キャッシュを最大化する”方法
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
