(※写真はイメージです/PIXTA)

一代で財を成した場合、その大切な財産を守っていくためには、本人だけではなく家族の金融リテラシー向上が大切です。ある経営者一族を例に、牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。

Aさんが“一文無し”になったワケ

Aさんはまず、相続した1億円で、相続税や不動産のリフォーム代金を支払いました。ここまでは良かったのですが、残ったお金について「形見として、お金を物に変えよう」と、外車や高級腕時計を購入。あっという間に1億円が残り1,000万円を切ってしまったのです。

 

Aさんは、「やばい……このままじゃ遊んで暮らせない。お金を増やさなきゃ」と、簡単に儲かる方法はないかとインターネットで調べて、FX(外国為替証拠金取引)に目を付けました。

 

AさんなりにFXについて学び、サイトのシミュレーションで試してみると、簡単に勝てました。

 

「なんだ、簡単じゃないか。昔からやればなんでもできたからな」と自信満々のAさんでしたが、いざ始めてみると、結果は惨敗。何度か少額の勝ちはあったものの、損切のタイミングを逃して大金を失う……気がづけば「形見だから」と買った外車を手放すハメに。

 

「やっちまった……俺はなんてバカなことを」幸い借金を作ることはなかったものの、相続から2年後、Aさんは1億円をすべて失ったのでした。

 

そして兄から事情を聴いたBさんは、ここでお金を渡すだけだとまた同じことを繰り返すからと、以前からの知合いであった筆者に、兄が生涯自活した生活が送れるよう、助言を求めてきたのでした。

弟の正論に声を荒らげるAさんだったが…

筆者の事務所を訪れたBさんは、兄であるAさんへ諭すように話しはじめました。

 

「兄さんが相続したアパート、入居者探しに苦労していると聞いたけれど、いまのままの家賃じゃ厳しいと思うよ。アパート経営に本腰をいれないと、年金収入だけでは不動産の維持管理も難しいんじゃないかな。もうちょっと真面目に将来のことを考えようよ」

 

するとAさんは「大げさなことを言うな」と声を荒らげ、その後も兄弟で問答が続きました。そして、Aさんが筆者に、「FPさん、せっかくだけど俺にはお金の心配はいらないよ。きっとなんとかなるはずだから」といって、筆者と話すことなく、Aさんは帰っていかれました。

 

 

次ページ数日後…筆者のもとにかかってきた1本の電話

※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。

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