Mさんの年金は「減額」されていた
Mさんは大学卒業後、現在勤めているIT企業を新卒採用枠で受けましたが、残念ながら落ちてしまいました。結局、このタイミングでは、中小規模のIT企業に就職します。しかし、今後の給料や、受注先のレベル、扱う案件の規模に限界を感じて3年で退職しました。
経験を積んだMさんは今度こそいけるかもしれないと、一度落ちた企業に再チャレンジします。すると今度は、正社員としての採用は叶いませんでしたが、個人事業主として3年半、いまの会社で業務委託契約として働くことが認められたのです。その後、スキルを認められ社員として働き始めたのです。
さらに、社員として採用された際の雇用契約も、月々決まった金額が保障され、報酬額は月70万円。その後、昇給を続け報酬額は月90万円超になり、いわば勝ち組サラリーマンとなりました。
報酬額が高いのなら、さぞかし年金額も高いのだろうと思い込んでいたMさん。しかし、その考えとは裏腹に、ねんきん定期便の見込額は想像していた金額より少なく、月額約17万円と、現役時代の約5分の1程度ということがわかります。
では、いったいなぜこんなに少ないのでしょうか。
年金減額の理由
年金額が低くなった大きな理由は2つあります。
ひとつは、学生時代と個人事業主のあいだの年金納付です。本来は、学生時代と個人事業主のあいだ、国民年金第1号被保険者として保険料を納付しなければいけませんが、Mさんは無関心だったため、未納のままにしていました。
もうひとつは、厚生年金保険の計算は、月々の給与も賞与も上限額があることです。月々の報酬の上限は65万円、賞与が支給されたとしても1回につき150万円までとなります。つまり、月収が65万円であっても90万円であっても標準報酬月額は65万円、標準賞与額は月間の支払が150万円であっても500万円であっても1回の上限は150万円で計算されるのです。
「そんな……年金が減額されていたなんて……」ショックのあまり意気消沈してしまったMさん。しかし、Mさんの低い年金見込額は、年金にまったく関心のなかったMさんが招いた結果なのです。
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