(※写真はイメージです/PIXTA)

夫を亡くした妻の生活を支える「遺族年金」。しかし、長年働いてきた「共働きの妻」と家庭を守ってきた「専業主婦の妻」の場合には、納得できかねる差があるのをご存じだろうか。実情を見ていく。

遺族年金額が少ない「共働き妻」、夫亡きあとの人生設計も綿密に

上記の説明を聞くと「たったそれだけ!?」と慌てる専業主婦妻も少なくない。

 

だが、安心してほしい。正確には、併給される国民年金を除いた厚生年金部分のおよそ4分の3であり、専業主婦の場合、自分がもらっている国民年金と遺族厚生年金をもらうことができる。本人が国民年金を満額受給しているなら、「国民年金6.8万円」+「遺族年金7.5万円」で、月額およそ14.3万円を受給できることになる。

 

注意が必要なのは、共働きだった妻のほうだ。

 

平均的な厚生年金額で、国民年金が満額受給だとすると「国民年金+厚生年金=10.9万円」+「遺族年金7.5万円」で、月額18.4万円がもらえると思ってしまうが、実際は違う。

 

遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある場合、老齢厚生年金は全額支給、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となる。女性の平均的な年金額だとすると、遺族厚生年金7.5万円のうち、女性の厚生年金部分である4.1万円は支給停止となり、その差額である3.4万円だけ遺族年金としてもらえることになる。

 

つまり、もらえる遺族年金額は、共働き妻のほうが専業主婦よりも少なくなるケースが多いのだ。さらに、遺族年金は非課税なのに対し、老齢年金は課税対象となる。そのため、65歳以上の場合、老齢年金が158万円以上であれば課税され、額面の85~90%の手取り額となる。

 

長年働いてきた妻は、思わず自身の支給額を二度見して、「なにかの間違いでは?」と口走ってしまうかもしれない。 

 

納得できないかもしれないが、共働きだった妻が、専業主婦の妻より年金額が少なくなるのは制度上の決まりであり、泣いても叫んでもどうしようもない。

 

共働き妻にとっては厳しい側面もあるが、人生100年時代、定年後も引き続き就労する人は増えている。この制度を見越したうえで、定年後の働き方や、老後資産の形成について、しっかりと検討する必要があるといえる。

 

 

[参考資料]

厚生労働省『令和4年 人口動態統計』

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』

日本年金機構『遺族年金』

 

THE GOLO ONLINE 編集部

 

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