主体性がない、やりすぎ・やらなさすぎ…マネジメントのプロが教える「困った部下を確実に変える方法」

主体性がない、やりすぎ・やらなさすぎ…マネジメントのプロが教える「困った部下を確実に変える方法」

部下の中に、主体性がなかったり、仕事を「やりすぎの人」と「やらなすぎの人」がいる場合、どうしたら主体的でバランスのよい人にできるのでしょうか。今回は、横山信弘氏による著書『若者に辞められると困るので、強く言えません』(東洋経済新報社)から、部下を主体的に成長させるポイントについてご紹介します。

「目的」を繰り返し言葉にさせよう


なぜそのことを主体的にやるべきなのか? その目的を伝えるのは当然だ。わかっていると思っても、繰り返し伝えよう。


「この仕事の目的は何?」「ゴールイメージを言ってみて」と確認する。相手が即答できるまで繰り返すといい。目の前のタスク処理に追われてしまい、視座が低くなって、視野が狭くなっている人には効果的だ。

 

何の目的でやっているのか、いつまでの期限で、どのような結果を出さなければならないのか。視座を上げることで視野が広がり、別の視点でものごとを考えられるようになる。
 

「思考のクセ」を意識させることが大切

 


ただし、それだけで理解できる人は少ないだろう。だから「思考のクセ」についても繰り返し意識させるのだ。

 



人間の思考のクセ、思考プログラムは過去の体験の「インパクト×回数」でできている。「主体性を発揮しろ」と言われても、そう簡単に体は受けつけない。過去を基準に考えるので、「自分なりにやっている」「これ以上、主体的になれない」と反応してしまう。


思考プログラムがそうさせているのだ。だから頭でわかっていても、体がネガティブに反応する。この思考のクセを繰り返し自覚させれば、いずれ「反応型」の自分から抜け出すことができる。


「なんで課長は、私の顔を見るたびに『主体性』『主体性』って言うんだ。頭にくる」と瞬間的に思ったとしても、立ち止まることができる。


「いや、待てよ。今のが思考のクセか……。主体性について、自分の過去の基準でしか考えていなかったのかもしれない」


このように思い直すことができれば、上司が期待する基準で主体的に自分の行動を選択できるようになる。



外からの刺激に反応するだけの「アウトサイドイン」から、自らの信念で動く「インサイドアウト」の思考に変えられるのである。
 

上司は、このような教育・啓蒙を粘り強くしていこう。この文章を読ませるだけでも、ずいぶんと違う。そうすることで、心の摩擦抵抗はずいぶんと減っていく。

 

そうなってようやく「ドン!」と背中を押すのだ。「体験」を「強制」するのである。


キチンと言葉にする前に「いいからやれ」「やればわかるから」と言い続けるのは乱暴なのだ。一昔前ならまだしも、高度情報化した現代にそんなことをしては逆効果だ。


1回や2回の学び(言葉)、行動(体験)で、主体性を発揮するような人に変わることなどない。

 

繰り返し学ばせ、繰り返し行動させることが大事なのだ。変わるのに半年や1年かかったとしても、その後5年、10年ずっと「主体性」を発揮するようになるのなら、そのほうがお互いにとってよい。
 

 

横山 信弘

株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長

経営コンサルタント

 

※本記事は『若者に辞められると困るので、強く言えません』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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