(※写真はイメージです/PIXTA)

「老後資金2,000万円問題」で話題になった老後の貯え。しかし「身体が資本」という言葉のとおり、心身が健康でなければそもそも働くことはできません。この記事では、参議院事務局産業医としての経験をもつ株式会社フェアワーク代表取締役会⻑・吉田健一医師が、中高年男性が健康に働き続けるためにできることについて解説します。

日本企業が目指すべき「健康経営」の理想像

(アンケート項目)

  • 新聞、本、テレビ、インターネットなど、いろいろな情報源から情報を集められる。
  • たくさんの情報のなかから、自分の求める情報を選び出せる。
  • 情報がどの程度信頼できるかを判断できる。

 

この質問の意図は、自分で情報を検索し、取捨選択し、信頼性や妥当性を判断できる能力を測定することです。

 

先にお伝えしたヘルスリテラシーの「1 正しい医学情報にアクセスすること」、「2 得られた医学情報を適切に解釈し理解すること」ができるのかどうか、を問うている質問です。

 

従業員サーベイで年に1~2回、定期的に問いかけることで、従業員間の健康に関するコミュニケーションが増え、より健康的な職場づくりに繋がります。

 

産業医の世界では「健康に関する話題がカジュアルに飛び交う職場」はいい職場であるという認識が一般的です。

 

そもそも、我が国「健康経営」概念の理論的基礎であり、1990年代に米国で提唱され始めた「ヘルシーカンパニー(The Healthy Company)」の概念においても、人材戦略と企業戦略が融合する時代を戦い抜くためには、社員のヘルスリテラシーの向上が前提となっています。

 

たとえば、冗談まじりにでも「部長、いびきうるさいとか奥さんに言われてませんか?」という会話が気軽にできるような雰囲気は、皆さんの職場にあるでしょうか?

 

さらに「そうなんだよ! ときどき止まってるらしいんだよ!」という話になったら「それ部長! 睡眠時無呼吸症候群かもですよ! すぐに検査受けてくれないと経営判断に支障が出て、僕らが困ります!」という会話に繋げられそうでしょうか?

 

この会話をきっかけに部長が治療を開始し、結果よく寝れるようになって、部署の生産性が改善すれば、こんなに素晴らしいことはありません。

 

さらなる施策案の例としては「ヘルスリテラシーを高める行動変容に積極的で、心身ともに健康的になり、業務効率が改善した社員の表彰制度を設ける」なども考えられるでしょう。

 

このような施策によって、社内に「○○さんは、ここ数年で健康的になって仕事もバリバリできて、いきいきしてていいよね!」といった賞賛の文化が浸透していくことが、組織のヘルスリテラシー向上には効果があると考えられます。

 

いかがでしょうか。人生100年時代といわれて久しいですが、今後は「健康かつ幸福な社会参加には、何よりも健康第一。ヘルスリテラシーあっての人的資本」という考え方が、よりクローズアップされてゆくのではないでしょうか。

 

日本から定年制がなくなる日は相当遠いものと思われますが、働く期間が長くなるのは必然の流れです。ぜひ、読者の皆様には、ヘルスリテラシーを高める行動を意識していただきたいと思います。

 

 

吉田 健一

産業医/精神科医

株式会社フェアワーク

代表取締役会⻑

 

 

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