健康に関する話題がフラットにできる職場づくりを目指そう
では、Aさんのように健康で働き続けられる土台づくりをするには、どうすればよいのでしょうか。
まずは、ヘルスリテラシーを高めましょう。
ヘルスリテラシーとは
1. 正しい医学情報にアクセスすること
2. 得られた医学情報を、適切に解釈し理解すること
3. それらの情報をもとに、他者に伝えたり、自分の生活を見直したりすること
上記のスキルを指します。
しかし、なかなか個人でヘルスリテラシーを高めようとしても難しいものがあります。しかも中高年男性は働きざかりですから、今までヘルスリテラシーに関心が向いていなかった場合に、急に時間を割くのも難しいでしょう。
そこで産業医としては、「企業から従業員へ健康面に関する意識づけ・動機づけをしていただき、従業員のヘルスリテラシーを高めてもらいたい」と考えています。
ヘルスリテラシーの向上は医療費など社会保険料の節減に役立つことから、企業だけではなく健保組合にとっても喫緊の課題です。生産年齢人口が減少するなか、従業員に長く健康に働いてもらうインセンティブは、企業が感じていると思うからです。
私が産業医として経験する現場や、知人の産業医から得た情報をもとに、有意義な施策の例をご紹介します。
施策(1)家族を巻きこむ
まず、従業員のヘルスリテラシーを高めるには、家族を巻き込んだ健康施策が有効と考えられます。
ビジネスパーソンのみなさんは日々忙しく、一般に健康になるための行動変容の動機づけが不足しています。そこで経営層から扶養家族の皆さんに手紙を送って、本人の健康意識を高めるサポートをお願いするのです。
たとえば娘さんから「お父さんここ3年ぐらいで太ってきたんじゃないの? 家族のためにもちゃんと健康診断受けてね」とか、奥さんから「いびきがうるさいうえに、夜中に息が止まってるわよ」などど言われたら、少しは自身の健康状態に目を向け、もっと健康に働き続けたい、との動機づけになるでしょう。
人は感情に動かされるものですし、近しい関係性にある人たちの願いを叶えようとする気持ちもあります。
結果として、60歳以降も心身ともに元気で働けたら、本人は生涯賃金をアップすることができ、家族にも喜ばれて、会社組織としても生産性が維持できる、つまりすべてのステークホルダーが幸せになる世界が実現するのです。
施策(2)従業員サーベイを活用して、健康関連の話題がフラットに行き交う組織づくり
従業員のヘルスリテラシー向上を目的とした施策としては、従業員サーベイ(※2)を活用する方法があります。
(※2)企業が従業員に対して行う調査
私が代表を務める会社の従業員サーベイでは、ヘルスリテラシーに焦点を当てたアンケート項目をシステムに組み込んでいます。一例をご紹介します。
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