OECDが日本に定年制の廃止を提言〜60歳定年制が残るのは日本と韓国だけ
経済協力開発機構(以下、OECD)は1月11日に、2年に1度の対日経済審査の報告書を公表しました。人口が減る日本で働き手を確保するための改革案として、定年の廃止や、高齢者や女性の雇用を促すよう訴えています。このニュースは日経新聞でも取り上げられたので、記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
日経でも報じられているとおり、OECDに加盟する38ヵ国のうち、実は日本と韓国だけが60歳での定年を企業に容認していますが、米国や欧州の一部では、そもそも定年退職は年齢差別として禁止されています。
私は産業医・精神科医として臨床現場にあたるなかで、その人の働く意思や能力、それに体力などのフィジカル面を考慮せず、「年齢」という要素だけで、肩書も収入も途絶えてしまう定年制については、大いに疑問を感じています。
働く能力も気力もあるにもかかわらず、一定年齢に達しただけで、雇用関係を終了されてしまう。さらに日本企業に多く見られる「役職定年」制度では、55歳前後から60歳までの約5年間を「部下なし・肩書きのみ」の状態で過ごさざるを得ない状況で、中高年男性が労働意欲を喪失してしまうことは、ある種の必然ともいえるでしょう。
60歳時点での健康状態によっては、生涯賃金が2,000万円減る可能性も
OECDでも提言されたように、人口減少という社会環境のなか、今後は60歳など一律の年齢を基準にするのではなく「意思と能力に応じて社会参加し、それに見合った報酬を得続ける」といった働き方が一般的になると思われます。
2019年6月に、金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループの報告書「高齢社会における資産形成・管理」が公表され、老後に2,000万円が必要だと報じられたことにより「2,000万」という数字が一気に話題に上りました。また、2024年からは新NISA制度が導入され、マネーリテラシーへ注目が集まっていると感じます。
しかし、一方で健康についてはどうでしょうか。マネーリテラシーと比較して、ヘルスリテラシーについては「まだまだその重要性が認識されていない」ように感じます。
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