(※画像はイメージです/PIXTA)

王道な相続対策として、ローンを組んで賃貸用アパートを購入・建築する手法があります。では、アパートローンを組む際、「元利均等」と「元金均等」のメリットが大きいのはどちらでしょうか。本記事では、アパートローンにおける元利均等と元金均等の総返済額について、ティー・コンサル株式会社代表取締役でメガバンク・大手地銀出身の不動産鑑定士である小俣年穂氏がシミュレーションをもとに解説します。

「借入をして建物を建てたら相続対策完了!」ではない…

「相続対策のため金融機関から借入をして無事に建物が完成した。これで子供達は無事に納税もできるであろう」と一安心していても、借入内容の共有ができていなければせっかくの対策が台無しになりかねない。

 

資産と負債は両輪の関係にある。

 

資産(本件では「不動産」)については物体として存在していることから、日ごろ確認が可能であり、相続人も具体的にイメージを持ちやすいと思う。一方の負債については具体的な形が見えない。したがって借入内容を整理のうえ「見える化」を行い、たとえば家族の集まる正月など一年に一度程度は共有しておいたほうがよいであろう。

 

たとえば図表1のような管理表を作成しておくとよい。作成にあたって手間であれば顧問税理士や不動産コンサルタントなどに依頼してもよいであろう。

 

出所:筆者作成
[図表1]管理表の例 出所:筆者作成

 

ポイントとしては、関連する土地建物をひとつの塊として整理することである。不動産をローンの担保とする際には土地建物をセットで提供しており、土地建物は不可分の関係にあるためだ。

 

また、担保価値が不足する場合には共同担保としてほかの不動産を担保提供しており、ローン完済までの間、金融機関の承諾なくしては売却や有効活用などもできなくなってしまう。

 

さらには、借入した金融機関によっては繰上げ返済時の違約金が設定されていたり、連帯保証人が必須になっていたり、団信の加入が義務付けられていたりとローンの条件はそれぞれのケースで異なる。

 

したがって、「その他」欄などを設け、特徴的な融資条件については明記する必要がある。このように資産と同様に負債についてもきちんと整理し相続人と共有することで初めて相続の対策がなされた、といえる状況になる。

 

当然ながら、共有まで完了したところが承継のスタートラインであり、その後の不動産収支の共有や、負債の状況の共有、さらには収支の改善やリスクの予防などを定期的に検討することで円滑な承継がなされていくと考える。

 

本件では、承継や不動産収支の「キモ」である「借入」について検討を行っていきたい。
 

 

 

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