(※画像はイメージです/PIXTA)

資産を次の代へ減らさずに確実に承継するために重要なのは相続に備え、財産を「整理」することです。本記事では、ティー・コンサル株式会社代表取締役でメガバンク・大手地銀出身の不動産鑑定士である小俣年穂氏が、円滑な資産継承のための「資産の見える化」について、その方法を詳しく解説します。

先代から引き継いだ資産、それに付随する重いプレッシャー

先代が引き継いできた資産、祖父から聞いた話によれば自分の代で15代目になるそうだ。過去には、自宅周辺に広大な敷地があり、そのすべては一族の土地であった。

 

最寄り駅の〇〇駅までは他人の土地を通らずに自分の土地を通って行くことができたそうだが、この何代かにおいては相続税納税資金を捻出するために土地を売却したり、戦後の農地改革によって大きく土地を減らしたりと、当時に比べてだいぶ目減りしたそうだ。

 

いままでに祖父から何度も聞いてきた。過去には子宝に恵まれず、一族から養子で来たご先祖が、昼夜を問わず粉骨砕身の働きで窮地を脱し、安定をもたらしたこともあるそうだ。その一方で、祖父母や両親からは「自分の好きなようにしていいよ、なくなっても構わない」とも言われたが、明らかに本心ではなく、次の代、さらにその次の代へと「減らさずに」承継していって欲しいことが感じられた。

 

自分が父親から相続するときも、弟や妹との分割協議では難儀したし、そもそも全体の資産を把握するのに多くの時間を費やした。もしかしたら、いまだに気付いていないだけで、どこかの銀行に父親名義の口座があるかもしれないし、生命保険についても手続きできていないものがあるかもしれない。

 

最近では次の代へは自分がしてきた苦労はさせたくないし、円滑に承継できるようレールを敷きたいと漠然と考えている。

円滑に資産を承継するために

円滑に承継を行うための留意点などを踏まえて検証したい。

 

以前、ローンについて家族で共有することが大事であると記事にした*。ローンについては不動産などの資産と異なり、実物として把握することが困難であるため可視化することの重要性を説明した。

 

資産についてもローンとまったく同じである。個人の資産を大別すると「金融資産」と「不動産」にわかれる。昨今では、不動産以外の実物資産(金、絵画、高級自動車、高級時計など)や暗号資産(ビットコインやイーサリアムなど)に分散して投資されている方もいると思うが、本件では一般的になじみのある資産で検討したい(図表1参照)。

 

[図表1]資産承継における留意点

 

たとえば、「預貯金」についても複数の金融機関に口座を開設していたり、アメリカの銀行に口座があるような場合、後継者は把握が困難であろう。また、昨今ではWEB通帳などが主流になってきているため、通帳から口座を推測することも難しい。

 

また、多くの方が加入している生命保険についても、保険証券がバラバラに保管されていたり、一時払いにより保険料の支払いが完了しているものについては、そもそも本人が忘れていたり、出金履歴から後継者が把握することも困難となる。いざというときのためにせっかく準備していてももったいないことになりかねない。

 

また、自分自身で所有金融資産を把握しておく意味でも、一度きちんと整理をしておくことをお勧めしたい。

 

次に、不動産について検討する。特に土地に関しては、底地を所有しており、その上に借地権が存するケースも多いと思われる。それぞれの借地契約を把握しておく必要もあり、かつ契約満期における手続きについても共有しておくことが必要だ。

 

建物についても、特に賃貸用不動産の場合、収支の推移や保守管理の状況、大規模修繕の実施など長く安定的に賃貸事業を営むための検討が必要である。したがって、資産についても後継者が的確に全体像を把握していることが肝要である。

 

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