負債がある場合でも、自社株買いでPBRは「上昇」
ケース3.現預金など「資産の売却」で自社株買いを行う場合(負債がある場合)
前節では、債務がなく、ROA=ROEの企業のケースを考えました。最後は、債務がある場合を考えます。
[図表4]がその数値例です。負債がゼロの場合に比べると、負債がある場合には、資産>自己資本であるため、資産の減少率は、自社株買いによる自己資本の減少率よりも小さくなります。
さらにいえば、ROAは一定のため、資産の減少率=利益の減少率ですから、利益の減少率は、自己資本の減少率よりも小さくなり(→ただし、「株数」はもっと大きく減るため)、「1株利益の上昇率」は「1株純資産の上昇率」よりも高く、「1株利益の上昇率」=「株価の上昇率」ですから、「PBR=株価/1株純資産」は上昇します。
PBR1倍割れの企業の自社株買いも「無意味」ではない!ただし…
数式で再検証したいと思っていますが、とりあえず、これらの数値例に従えば、「PBR1倍割れの企業が自社株買いをしても意味がない」とまではいえなそうです。
ただし、会社が保有する、ほとんどすべての資産や事業の収益率が、投資家の要求収益率を下回っている場合には、どの資産や企業の売却で自社株買いを行っても(PBRは上がるものの)1倍を超えることはなく、「自社株買いをしても意味がない」(→解散したほうがよい)といえるでしょう。
重見 吉徳
フィデリティ・インスティテュート
首席研究員/マクロストラテジスト
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

![[図表4]PBR1倍割れ、かつ負債があるときに、 自社株買いを、元のROAと同水準のROAを持つ資産売却で実施する場合、1株利益の上昇率=株価の上昇率>1株純資産の上昇率となるため、PBRは上昇。](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/f/3/540/img_f329872cb17329695aed1daaf40c5827246103.jpg)