(※写真はイメージです/PIXTA)

現在、老齢年金の受給開始年齢は「65歳」となっていますが、繰上げ受給・繰下げ受給の制度を使うことで60歳から75歳までのあいだで前倒ししたり先延ばししたりすることができます。この際、「繰下げ受給」をすると受給額が増額されるため、「たくさんもらえるに越したことはない」と安易に決断すると、逆に家計状況が苦しい事態に陥りかねないと、牧野FP事務所の牧野寿和CFPはいいます。事例をもとに、その理由について詳しくみていきましょう。

愛する妻を想って「繰下げ受給」を決断したAさん

実はAさんは、老後のことを考えて平均寿命について調べた際、妻が5歳年下であることから「自分が亡くなったあと、妻がひとりになる期間が長いのが心配だ」と思ったそうです。

 

そこで、少しでも受給額が増えればと、Aさんは当時最大の70歳まで受給開始を繰下げました。

※ 年金制度改正により、令和4年4月から繰下げ受給の上限年齢が70歳から75歳に引き上げられた。

 

「繰下げ受給を選択したものの、このままでは破産してしまうかもしれません……もっとちゃんと調べておけばよかった」と肩を落とすAさんに、筆者は「安心してください」と次のようにいいました。

 

「参考までに、世帯主が72.1歳の場合、実収入の平均額は25万8,359円、支出は28万3,211円ですので、A家の家計収支は平均を上回っています。また筆者の試算では、毎月5万円ずつ10年間で600万円貯蓄することも可能ですよ」。

※ 厚生労働省「家計調査年報(家計収支編)二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯の家計収支 -2022年-」より。

 

「定年だし、そろそろ年金について考えよう」では遅い

年金を受け取るタイミングについては、所得や銀行の預貯金、株式や投資信託、個人年金保険といった資産形成の状況を確認しながら、将来の家計収支や貯蓄の推移を試算して、年金を家計に取り込むベストな年齢を見極めることが重要です。

 

■ベストな年齢が65歳なら

→通常の65歳から受給。

 

■ベストな年齢が65歳以上75歳までなら

→老齢厚生年金、老齢基礎年金どちらか一方か両方とも、その歳まで繰り下げて受給。

 

■ベストな年齢が65歳より前なら

→60~65歳までの家計が成り立つ歳まで繰り上げて受給。

 

年金受給について、60歳を過ぎてから検討しはじめるのでは間に合いません。遅くても55歳くらいから老後のライフプランを作成しつつ、FPなど専門家に相談をうえ検討するといいでしょう。

 

なお、その際には複雑に考えすぎることなく、シンプルに整理して考えることが大切です。

 

 

牧野 寿和

牧野FP事務所合同会社

代表社員

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。

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