(※写真はイメージです/PIXTA)

現在、老齢年金の受給開始年齢は「65歳」となっていますが、繰上げ受給・繰下げ受給の制度を使うことで60歳から75歳までのあいだで前倒ししたり先延ばししたりすることができます。この際、「繰下げ受給」をすると受給額が増額されるため、「たくさんもらえるに越したことはない」と安易に決断すると、逆に家計状況が苦しい事態に陥りかねないと、牧野FP事務所の牧野寿和CFPはいいます。事例をもとに、その理由について詳しくみていきましょう。

日本の年金制度のキホン

日本の年金制度は[図表1]のように3階建てになっています。1階部分と2階部分は国が運営する公的年金で、3階部分は公的年金に上乗せされる私的年金です。

 

出所:筆者が作成
[図表1]日本の年金制度 出所:筆者が作成

 

1階部分の「国民年金」は、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入します。自営業者などは「第1号被保険者」として、国民年金のみに加入して保険料は自分で納めます。

 

また、会社員や公務員は「第2号被保険者」として図中の2階部分にあたる厚生年金に加入します。厚生年金に加入すれば、国民年金にも加入していることになり、厚生年金保険料は給与から天引きされます。

 

会社員の奥様など、この第2号被保険者に扶養されている配偶者は「第3号被保険者」となり、保険料の自己負担はありません。

 

私的年金には、企業が従業員に退職金を支給するための「確定給付企業年金」、「企業型確定拠出年金」、「厚生年金基金」といった種類があります。
※ 厚生年金基金は、2014年4月以降新規の設立はできなくなった。

 

図中にある「年金払い退職給付」は、公務員の共済年金と厚生年金が一元化されたときに、公務員に支給されていた職域加算が廃止され、新たに設けられた公務員の年金制度です。

 

このほか、「国民年金基金」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」など、個人が国民年金に上乗せして任意で加入する年金もあります。

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。

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