(※写真はイメージです/PIXTA)

残された家族が争うことなく、幸せに暮らすことを願って作成されるはずの「遺言書」。しかし、遺言書での相続でも「思わぬ不動産をつかまされることになる事例が増えている」と、不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は警告します。牧野氏の著書『負動産地獄 その相続は重荷です』より、その理由を詳しく見ていきましょう。

「不動産は持っていれば価値がある」時代は終わった

これからの相続では、遺言書がなく、遺産分割協議になる場合、今まで以上に慎重になる必要があります。

 

地方の実家、流動性を失った郊外ニュータウンの戸建て住宅、老朽化したマンション、別荘やリゾマン、借金まみれの中小ビル、シャッター通り商店街に残された店舗付き住宅、正確な場所も判然としない山林、売るに売れない高級住宅地など、漫然と相続してしまうと後に大変な苦労を背負いこむことになります。

 

現金や有価証券は金額もはっきりしていてわかりやすい資産ですが、不動産についてはどれだけの価値を持っているか、意外とわかっていない人が多いように思えます。

 

特に昭和・平成の価値観で、とにかく不動産は持っていれば価値がある、最後は売れば換金できるはず、などと思っていると、痛い目に遭います。これからの日本では、売却という「出口」を見失っていく不動産が大量に発生する可能性が高いのです。

 

相続させる親のほうは、不動産を今後どうしていきたいのか、誰に譲れば資産として生かされていくのかを考え、必要のない不動産は相続前に換金しておくなどの処置をしておくことです。

 

また相続人も、親の持つ資産をどのような考えで承継するのか、マーケットも含めて事前によく勉強しておくことです。くれぐれももらった不動産でいらぬ苦労をしないように。

 

 

牧野 知弘

 

オラガ総研 代表取締役

 

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※本連載は、牧野知弘氏の書籍『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より一部を抜粋・再編集したものです。

負動産地獄 その相続は重荷です

負動産地獄 その相続は重荷です

牧野 知弘

文藝春秋

資産を巡るバトルでも相続税対策でもない。 親が遺した「いらない不動産」に悩まされる新・相続問題が多発! 戦後三世代が経過していく中、不動産に対する価値観が激変。 これまでは相続財産の中でも価値が高いはずだった…

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