「上に媚びて出世した人」の落とし穴
定年前後の男性がよく口にする不安の一つに、「仕事以外に付き合いがないから、定年後は孤独になりそうで怖い」というものがあります。このテーマは、50代以下の人にもよく考えていただきたい問題です。
一般的に、若い頃は組織内で出世して偉くなるために、上司に気に入られるよう、あるいは嫌われないように、相手に媚びる態度をとる人が割と多いと思います。その一方、部下には偉そうにする人が多いわけです。
さて、そのようにひたすら「上下関係」を重んじてサラリーマン人生を送ってきた人は、晩年になってどうなるでしょうか。
高齢者を専門にした医療現場で長年勤めていると、引退後、何らかの病気になって入院した時、家族以外に見舞い客が来なかったり人が寄りつかない患者さんと、割と見舞い客が多く訪れる患者さんの2パターンがあります。
傾向として、見舞い客が寄りつかない患者さんのほうが、現役時代の社会的地位は高かったりします。よくよく観察すると、現役時代に上に媚びるのに必死で部下を可愛がらなかった人は、自分が病に倒れた時には頼りにしていた上司はすでに他界しているケースも多く、その結果、寄ってきてくれる人がいないことが往々にしてあるのだと気が付きました。
反対に、上に楯突いたかどうかは別にしても、部下を可愛がっていた人の場合は、定年後も当時の部下が寄り付いてくれるようです。入院中の様子を見ても、やはり、人間関係は上下で考えないほうが、後々になって孤独にならないと言えそうです。