(※写真はイメージです/PIXTA)

あちこちで防止が叫ばれている特殊詐欺ですが、被害に遭う高齢者は後を絶ちません。注意していても詐欺に引っかかってしまう理由は、実は子どもとの関係性にあるのだと精神科医の和田秀樹氏はいいます。本記事では和田氏の著書『老化恐怖症』(小学館)から一部抜粋し、詐欺被害や運転事故から親を見守るポイントについて解説します。

「電話に出たがる」理由を考えよう

警察庁のまとめによると、2022年のオレオレ詐欺など特殊詐欺の認知件数は1万7,570件、被害総額は370億円を超えたことがわかりました。

 

行政やメディア、金融機関などのさまざまな場面で「防止」が叫ばれているにもかかわらず、件数、被害額ともに前年を大きく上回り、増加傾向になっています。

 

親御さんが暮らす家の安全対策には、民間警備会社との契約やさまざまなデジタルツールの活用による見守りも可能ですが、誰もがすぐに利用を始められるわけではありません。すぐできる対策としては、「不審な電話には出ない」などが考えられます。

 

ところが、親御さんの側が「電話に出たがる」というのが少なくないようです。なぜ、ダメと言うのに老親は電話に出たがるのでしょうか。

 

息子や娘を装うなど、本人の弱みにつけ込む特殊詐欺はともかくとして、高齢者を狙う詐欺的犯罪の多くは、「いい人」っぽく近づいてくる点を考えてみる必要があるでしょう。

 

1980年代に起きた豊田商事事件では、全国で約2万人が騙され、被害総額は2000億円近くに達しました。

 

その手口として報じられたのが、同社の社員が高齢者などの自宅を何度も親切そうな様子で訪ね、だんだん自分を信用させていって、実体のない金地金のペーパー証券を買わせるというものでした。

 

以来、これが高齢者を標的にした詐欺の見本であるかのように、その後も似たような事件が後を絶ちません。なぜ、それでも高齢者が騙されるのかと考えると、背景には「寂しさ」があると考えられます。

 

だからこそ、見知らぬ人でも親切にされたり、気遣われたりすれば、コロッと相手を信じてしまう。その相手が喜ぶことをしてあげたいと思う。困っていたら助けてあげたいと思う……。

 

そうした「寂しさ」につけ込む詐欺犯は言語道断ですが、いっぽうで、親御さんの「寂しさ」をそのままにしている子供の側にも、実はできることがあります。

 

つまり、「特殊詐欺が心配だ」と言う以上に、なるべく頻繁に電話をかけて様子を聞いたり、何らかの形で接触を持つということです。

 

そのようにつながることで、「寂しさから誰かを求める」親御さんの状況を変えていければ、「私がしょっちゅう電話するけど、他の知らない人からの電話には出ないでね」という言葉を聞いてもらえるようになるのではないでしょうか。

 

ただ、最近は高齢者宅を狙う「アポ電」など強盗事件が報じられており、高齢者の方もかかってくる電話には慎重になっているはず。

 

それでも「電話に出ない」「知らない人を家に上げない」などが守れない場合は、軽い認知症の可能性が考えられるので、医師への相談を検討したほうがいいかもしれません。

 

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