フィリピンの国営ファンド「マハルリカ・インベストメント・ファンド」エネルギー分野に巨額投資

2月25日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピンの国営ファンド「マハルリカ・インベストメント・ファンド」エネルギー分野に巨額投資
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は世界でもトップクラスの堅調な経済成長を続けるフィリピンにおいて、その成長をさらに加速することが期待されている同国の国営ファンド「マハルリカ・インベストメント・ファンド」や「PPP(官民連携)プロジェクト」の最新動向をレポートします。

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フィリピン「国営ファンド」で同国のエネルギー問題を解決へ

フィリピンのソブリンウェルスファンドである「マハルリカ・インベストメント・ファンド」は、安定したエネルギー供給システムが多世代にわたる「成長の鍵」とされていることから、初期投資の大部分を同国の「エネルギー部門」が占めるとしています。

 

*国家の金融資産を積極運用するファンド

 

マルコス大統領は、「マハルリカ・インベストメント・ファンド」を「戦略的投資を通じて経済開発を推進するエンジン」と位置付けています。外国からの借入依存を削減する手段としての位置付けもあります。

 

フィリピンでは高い電力コストとアクセスの不足を解決するために、エネルギー部門への投資が必要とされてきました。昨年の電力の利用可能性とピーク時の電力数値を見ても、フィリピンでは、ほとんど余剰電力がない状況となっています。

 

「マハルリカ・インベストメント・ファンド」の優先投資分野は、電力の他、農林業、製造業、都市開発、鉱物加工、観光、交通、航空としていますが、電力分野では再生可能エネルギーを中心とする供給源の多様化と価格の安定化、送電網の近代化を目指しています。

 

先月、大統領府は、フィリピンの電力送電網のほぼ唯一の独占事業者であるフィリピン国家電力送電会社(NGCP)への投資を検討していると述べました。「マハルリカ・インベストメント・ファンド」は、1,250億ペソの初期資本と5,000億ペソの追加承認資本を持っています。

GDPの5~6%規模…インフラへの投資拡大が続く

マルコス政権は、ビルド・ベター・モア・インフラキャンペーン(BBM)を後押しするために117件のPPP(官民連携)プロジェクトを持ち、その価値は2.42兆ペソに上ります。その内訳は、55件が空港、鉄道、港湾ターミナルなどの交通インフラで、21件が都市開発に関連し、14件が道路プロジェクトに割り当てられています。

 

フィリピン政府機関でPPPプロジェクトを管轄するPPPセンターによれば、交通インフラに多くのプロジェクトを抱えているのは、この分野でのフィリピンの遅れを取り戻そうとしているからとのことです。

 

議会は2024年、マルコス政権のビルド・ベター・モア・インフラキャンペーン政策に1.5兆ペソを割り当て、その大部分が港湾、空港、大量輸送プロジェクトに充てられます。

 

マルコス政権は、GDPの5~6%をインフラに投資することを目指し、8.78兆ペソ相当の198件の主要インフラプロジェクトを承認しています。これには、メトロマニラ地下鉄、南北通勤鉄道、サンラモンニューポート、ケソン市のフィリピン大学総合病院、カガヤンバレー医療センターの血液透析センター、EDSAバスウェイプロジェクトなどが含まれます。

 

また過去数ヵ月間で多くの民間からの非公募提案があり、これらも2024年に承認される可能性があります。このなかには、プエルトプリンセサ国際空港の改修+運営、メトロマニラの長期的な水源開発プロジェクトなどが含まれます。さらにPPPセンターは、来年13件のプロジェクトを承認することを目指しており、そのなかには新セブ国際コンテナ港、サンマテオ鉄道プロジェクト、ラグナレイク道路ネットワークが含まれます。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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