(※写真はイメージです/PIXTA)

物忘れが多いと「認知症では?」「病気かな?」と不安がよぎるのはよくあることです。実は物忘れには2種類あり、気をつけるべきなのは「思い出せない」ときではなく「覚えていない」ときだといいます。本記事では和田秀樹氏の著書『老化恐怖症』(小学館)から一部抜粋し、気になる物忘れの詳細について解説します。

「男性ホルモン低下」の影響による物忘れも

50代以降の「入力障害型」の物忘れの原因として3つ目に考えられるのが、男性ホルモンの低下です。他の症状として「やる気がなくなってきた」「筋肉が落ちて脂肪が目立つようになった」などの症状があれば、男性ホルモン(テストステロン)が低下している可能性が高いでしょう。

 

個人差はありますが、一般的にテストステロンの本格的な減少は40代半ばから始まります。思春期の頃には、精巣で作られるテストステロンが働いて髭ひげなどの体毛が生え、筋肉や骨ががっしりとして「大人の男」の体に変わりますが、それ以降もテストステロンは性機能や筋肉・骨の形成、脂質代謝に関わり、血管の健康を保つ機能や造血機能など、様々な作用があります。

 

テストステロンは脳にも直接働き、意欲を高めるほか、判断力や記憶力などの認知機能を高める作用もあります。逆にそれが減少すると、筋力低下や勃起障害、頻尿などの身体症状に加えて、集中力の低下や無気力、抑うつ、不眠、記憶力低下、性欲減退などが起こりやすくなります。

 

テストステロンの減少は脳内で記憶の入力に関わる神経伝達物質アセチルコリンの分泌も低下させることがわかっています。

 

もし気になる場合は、医療機関で血液検査を受けることをお勧めします。その結果、血中のテストステロン値が一定以下になっているようであれば、保険診療でホルモン補充療法を受けることができます。

 

最近は泌尿器科やメンズヘルス外来など、男性向けにホルモン治療を実施する医療機関が増えてきているので、相談してみるといいでしょう。記憶力の改善はもちろん、意欲も高まって元気になるなど、男性ホルモン補充療法のメリットは大きいと言えます。

 

 

和田 秀樹

精神科医

 

※本記事は『老化恐怖症』(小学館)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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