(※写真はイメージです/PIXTA)

物忘れが多いと「認知症では?」「病気かな?」と不安がよぎるのはよくあることです。実は物忘れには2種類あり、気をつけるべきなのは「思い出せない」ときではなく「覚えていない」ときだといいます。本記事では和田秀樹氏の著書『老化恐怖症』(小学館)から一部抜粋し、気になる物忘れの詳細について解説します。

「比較的新しいこと」を覚えていないのは要注意

実は「物忘れ」には2種類あり、「人の名前が出てこない」などの〝思い出せない〞物忘れは医学用語で「想起障害」といいます。この場合、周囲に「○○でしょ」と指摘された時に「ああ、そうだった」と思い出せることがほとんどです。

 

しかし、「思い出せない」想起障害ではなく、たとえば「今日は何月何日だっけ」「昨日の晩御飯が思い出せない」などの比較的新しいことを覚えていない「入力障害型」の物忘れには要注意です。

 

 

その原因は大きく分けて3つあります。

 

1つが、やはり認知症などの病気が原因の場合です。ただ、若年性認知症の罹患率は50代は1万人に8人と非常に少ない。病気が原因の物忘れは、他にも甲状腺機能低下症(身体の新陳代謝を盛んにするなどの働きをする甲状腺ホルモンの血中濃度が低下して起こる。その症状の一つに、記憶障害がある)などがあります。

 

2つ目に、100人に3人くらいの罹患率とされる「うつ病」が考えられます。記憶力が落ちたことに加えて、「食欲が低下した」「就寝中に何度も目が覚める」などの症状があれば、うつ病の可能性があると考えられるので、心療内科や精神科を受診することをお勧めします。

 

50代など中高年の「うつ病」の場合、脳内の神経伝達物質の一つである「セロトニン」の不足が大きな要因と考えられています。「うつ病」の原因の一つとして、神経細胞や筋細胞の間に形成される「シナプス」という接合部での、神経伝達物質の受け渡しがスムーズに行えなくなる状態が指摘されています。セロトニンの不足により、神経伝達がうまく働かず、気分が落ち込んだり、記憶力が低下するなどの「うつ」症状が出るとされています。

 

そうした「うつ」の予防には、セロトニンが減らないような食生活が効果的な場合があります。たとえば、体内でセロトニンの原料となるアミノ酸「トリプトファン」が豊富に含まれる肉類や大豆製品、乳製品などを摂取すること。トリプトファンは体内では作られないため、食物から摂取するしかありません。

 

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