「人事評価制度」は、自社の規模感に合ったものを作成する
社内の環境整備においては「人事評価制度」も重要なものの1つです。
九昭の売上が5億円になった頃に数年間、停滞したことがありました。3億円から5億円になるときもそうだったのですが、企業の業績は「人」が育つことで上がっていきます。つまり、停滞期は「人を育てるチャンス」でもあるのですが、社員教育に関しては次回にお伝えするとして、ここでは人事評価制度についてお伝えします。
中小・零細企業で人事評価制度というと、属人性のない、小難しくて、堅苦しいもののように感じてしまうかもしれません。しかし、現実はそんなことはありません。
「人」に関してあなたが大切にしている考え方をベースに作成すればいいのです。私の場合、会社を父から受け継いで売上アップに必死になっていた頃、さまざまなビジネス書や自己啓発書を読み漁り、経営ノウハウや経営哲学を参考にしようとしました。その中でも最も共感できたのが稲盛和夫氏でした。
そもそも、人事評価の基準を作成しようと思ったのは、大手企業や中堅企業が持っているものだったからです。
実は売上3億円の頃にコンサルティングを受けて一度作成したのですが、そのときは九昭がそこまでの組織でなかったので機能しませんでした。そこで稲盛氏の考え方をベースに、自社の規模感に合ったものを作成したのです。
稲盛和夫氏の本を1冊でも読んだことがあれば、恐らく次の方程式を見たことがあると思います。
《人生と仕事の結果=能力×熱意×考え方》
稲盛氏曰く、能力と熱意には0~100点まで、考え方にはマイナス100点~プラス100点までがあり、考え方次第で人生や仕事の結果が180度変わるそうです。どれだけ能力が高く、熱意があっても、考え方がまずければマイナスの結果しか出ません。「100×100×(−100)=−100万」になるわけです。
稲盛和夫氏の考え方に学んだ「人事評価シート」
私は経営者としてこれを「成果=能力×熱意×考え方」としました。つまり、社員が成果を出すために大事なのは能力や熱意ももちろんですが、一番は考え方」ということになります。
私はこの考え方で人事評価シートを作成しました。項目の内容はシンプルで構いません。
能力の項目には「自社の仕事を担当するにあたって必要な能力や資格」について10項目をピックアップし、それぞれを0~10点で評価をします。全部10点であれば100点になります。
熱意の項目には「社会人としての立ち居振る舞いや、仕事においての振る舞い」について同じように10項目をピックアップし、それぞれを0~10点で評価をします。
考え方は「社員心得」で記載したような、経営者が社員に持っていてもらいたい考え方を項目ピックアップし、それぞれをマイナス10~プラス10点で評価をします。
いかがでしょう? このくらいであれば人事評価制度を堅苦しく感じることはないと思います。大手企業や中堅企業とまったく同じものである必要はなく、自社に合わせていいのです。
さらに、まだ組織が小さい場合は難しいかもしれませんが、社員の評価を経営者1人が行うのではなく、幹部クラス、直属の上司も参加してここに評価できる「360度評価」の形を目指してみてください。それによって個人のバイアスがかかりにくい、適切な人事評価ができるようになるはずです。
(株)九昭ホールディングス代表取締役
池上 秀一
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