残業は原則ナシ。するなら2週間以内に振替をさせる
現在、一部の業界では「2024年問題」が話題になっています。
働き方改革によって医療業や建設業、物流業の時間外労働の上限規制が適用されることになり、例えば物流関係ではドライバーの労働時間に罰則つきで上限が設定されます。自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって「会社の売上・利益減少」「トラックドライバーの収入減少・離職」「荷主側における運賃上昇」といった問題が生じることが取り沙汰されています。
要するに、これからの会社はおいそれと社員に残業を強いることができなくなる、ということです。そんな変化する世の中で会社が生き残るためには、残業を「原則ナシ」とするほかありません。
もちろん、現実では残業が発生するものですが、そうであっても残業代を払うよりは、振替で休みを取れたり早く帰れたりするほうが付加価値額経営の考え方としてはマッチします。
付加価値額を上げても残業が多いのであれば、残業代が発生して人件費が上がり、利益を圧迫してしまうからです。
「残業は原則ナシで、してもいいけどするなら2週間以内に振替で休む(早く帰る) 」
を徹底していきましょう。これはトップダウンでするしかありません。2週間ルールにしているのはそれを超えると忘れてしまったり、その月の給与が確定してしまうからです。もちろん、それでも取れない場合は支払いますが、額を極力減らすためにルール化するのです。
私の会社でも完全に残業がなくなったわけではありませんが、昔に比べてかなり減っています。残業を原則ナシにルール化することで、社員がどうすれば早く帰れるか、どうやりくりすれば振替で休めるかを考えるようになったからです。
「残業が少ない人を評価すること」を全社で浸透させる
社員を評価する基準において「残業が少ない人を評価すること」とするのは効果的です。
先述の通り、残業が増えれば増えるほど付加価値額を圧迫します。ですから、そもそも残業をする社員は評価しない方向性を打ち出し、徹底的に話をして全社に浸透させるようにしましょう。
私の会社では就業時間が8時30分~17時30分なので、時には事務所を閉めて電気を消すことを徹底しています。
このようにすることで、社員は8時間の中でどう働くかを考えるようになります。これまでは途中でコーヒーを飲みに喫茶店に入ったり、必要以上に喫煙所で時間を潰したりしていたムダをしなくなり、自分から効率性アップ・生産性アップを考えるようになります。そしてこの徹底が、付加価値額経営につながっていくのです。
現在、日本ではDX(デジタル・トランスフォーメーション)による仕事の効率化・生産性アップが強く言われています。
しかし、どれだけデジタルツールやITを導入したところで、それを使う人間側に意識があって行動に移さなければ意味がありません。DXの前にまずは意識改革です。
付加価値額経営の考え方を浸透させ、それが働き方にどう影響するのかを、制度やルール作りも踏まえて経営者は全社に浸透させなければいけません。これも社員教育の一環なのです。
(株)九昭ホールディングス代表取締役
池上 秀一
注目のセミナー情報
【国内不動産】11月9日(土)開催
実質利回り15%&短期償却で節税を実現
<安定>かつ<高稼働>が続く
屋内型「トランクルーム投資」成功の秘訣
【海外不動産】11月12日(火)開催
THE GOLD ONLINEセミナーに
「アンナアドバイザーズ」初登壇!
荒木杏奈氏が語る「カンボジア不動産」最新事情
【国内不動産】11月14日(木)開催
社長登壇!アパート4棟所有、資産3億円!
“入居者に選ばれ続けるアパート”が成功のカギ
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】