「安全資産」としての金の需要は増大するか
(3) 「安全資産としての金」の存在感は増大も
また、「安全資産としての金」の需要も増大する可能性がある。
ガザ地区におけるハマスとイスラエルの交戦が続くなか、ハマスに同調して船舶への攻撃を続けるイエメン武装勢力フーシと英米軍による報復攻撃の応酬が続いているほか、イラクなどでは新イラン武装勢力と米軍との間で攻撃の応酬が続くなど、中東の地政学リスクは広がりを見せつつある。
発端となったハマスとイスラエルの間では戦闘休止に向けた交渉が行われているものの、イスラエル政府はハマス根絶を目指す姿勢を崩していないだけに、中東地政学リスクの鎮静化は見通し難い。
また、開始から約2年が経過するウクライナとロシアの戦争も未だ終わりが見えない。
さらに、今年は世界的な選挙イヤーであり、各国で重要な国政選挙が実施される。特に注目される11月の米大統領選では、現職のバイデン大統領とトランプ前大統領が対決する構図となる公算が高まっている。
仮にトランプ氏が勝利した場合には、税・財政や対外政策、移民政策やエネルギー政策といった幅広い領域で現行政策の大幅な転換が行われる可能性があるだけに、先行きの不透明感や景気の下振れリスクへの警戒が燻るだろう。
実体経済についても、既往の急速な利上げの効果が時間差で顕在化することによって欧米経済が減速するリスクが残るほか、不動産問題を抱える中国の景気が失速する恐れもある。
このように、地政学リスクや政治リスク、景気悪化リスクが意識されやすい状態が続き、安全資産としての金需要に繋がる可能性が高い。
各国中央銀行による金購入が続くといえるワケ
(4) 中央銀行による積極的な金購入は継続へ
各国中央銀行による積極的な金購入も続きそうだ。ワールド・ゴールド・カウンシルによれば、2023年の中銀による購入量は1037トンと記録的な水準となった2022年(1082トン)に肉薄し、金需要全体の約1/4を占めた。
リーマンショック以降、外貨準備のドル偏重に危機感を持った一部中央銀行がドル資産を分散化させる目的で資金を金へとシフトさせる動きが続いていた。
さらに、2022年のウクライナ侵攻への制裁として、米国をはじめとする西側諸国がロシアの外貨準備資産を凍結したことが中銀による金買いに拍車をかけたとみられる。
米国と距離を置く国々が将来米国から制裁を受ける可能性を考慮し、その影響を緩和する目的でドルを手放し、金へと資金を移す動きが続いていると推察される。
とりわけ、最大の金購入国である中国については、それに加えてドル覇権からの脱却や人民元国際化といった戦略的意図の存在も垣間見える。
各国中央銀行による金購入は長期の国益を見据えた構造的な動きであるため、今後も継続される可能性が高い。
これら多くの追い風を受けて今年のNY金先物は上昇し、過去最高値を明確に更新する可能性が高いと見込んでいる。年末時点のNY金先物は2200ドル台と予想している。
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