「自信はコーラと同じ」といえるワケ
キンキンに冷えたコーラが飲みたくてたまらなくなるーーそんな経験は誰にでもあるだろう。しかし、コーラが飲みたいという欲求に、生物学的な裏付けはまったくない。世界中でたくさんの人が自信を欲しがっているのもそれと同じで、本当は必要ないのに欲しがっているだけだ。
とはいえ、どんなにコーラが好きな人でも、コーラが体によくないことはわかっているが(少なくとも砂糖たっぷりのオリジナルバージョンは)、それが自信となると、特に利点はないということを理解している人はほとんどいない。むしろたいていの人が自信の力を信じている。自分のことが好きで、自信があれば、どんな夢でも叶えられると思い込んでいる。そして、逆に自信がなければ、何をやってもダメだということになっているのだ。
その結果、本当は必要ない自信を欲しがる人が、世の中にあふれるようになった。ただ自信だけを手に入れて、いい気分になることだけを求めている。本当の実力や能力を身につけることはなおざりだ。たいていの人は、できるような気になることと、実際にできることを勘違いしている。
このコーラのたとえ話を使って、自己愛過剰の風潮についてもう少し考えてみよう。
コカ・コーラは、現代でもっとも成功しているブランドの1つといっていいだろう。たとえばコカ・コーラは、フェイスブックの「友達」が世界でいちばん多い[注1]。そこまで好かれるのは、黒くて甘い炭酸水を売っているからだろうか? いや、そうではない。コーラに入っているカフェインと砂糖は、摂取するとすぐに気分がよくなるが、体にはよくない(ちなみにダイエット・コークにすれば多少は改善されるようだ)。
つまりコカ・コーラというブランドは、目先の快楽に溺れるのをよしとするようなライフスタイルの象徴なのだ。ここで、コカ・コーラの広告コピーをふり返ってみよう[注2]。
[注1]これを書いている時点で、コカ・コーラのフェイスブック・ページには4134万4619個の「いいね!」がついている。
●1979年:「コークを飲んで笑顔になろう」
●1989年:「この気持ちよさにはかなわない」
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