ふりをすれば本物になる
自信がありそうに見える人は、多くの面で社会的に有利だーもちろんその前に、実力があると認められていなければならない! 実力があるところを見せている人は、よりカリスマ性があり、リーダーシップがあり、さらには外見も魅力的だと思われる傾向がある。また、そのような特徴がある人は社会的なランクが上になるので、周りにはますます人が集まってくる。
私たちは、世間で「成功者」とされている人と仲良くなり、そのことで自分の社会的ランクも上げたいと思っている。
しかし、自信満々の成功者は、もしかしたら自信のあるふりをしているだけかもしれない。実際のところ、彼らの成功を支えているのは、私たちが彼らを見る目だーつまり彼らが成功しているのは、私たち一般人のおかげだと言える。
その一方で、「内なる自信」に同じような効果があることは確認されていない。他人にわかるのは、表に現れた態度だけだ。内面でどんなに自信があっても、それは他人にはわからない。内なる自信を外に向かって表現し、態度で表すことができなければ、ほとんどの人にはわかってもらえないということだ。
周りの人は、あなたの頭の中まではわからない。基本的に、他人に伝わるのは表に出た言動だけで、頭の中や胸の内はせいぜい推測してもらうだけだ。内なる自信は目に見えない。しかし実力は誰の目にも見えるーそして他人は、実力に基づいてあなたの能力を判断する。
昔から「実現するまではふりをしろ」とよく言われているが、これは悪くないアドバイスだ。もしふりをすることができれば、周りに「実力がある」と思わせることができ、評価も上がり、それが自信につながるーたとえ自分にそこまでの実力はないとわかっていても、このサイクルは健在だ。
だから、もし内心に不安を抱えているが、周りをだまして実力のあるふりをすることができるなら、世間的には「実力のある人」で通すことができる。それに加えて、「実力のあるふり」には、「本物の実力」と同じくらいの力がある。なぜなら、大切なのは、結局のところ「他の人が自分をどう思うか」ということだからだ[注33]。
[注33]この「実現するまではふりをしろ」を実践していると、「インポスター(詐欺師)症候群」と呼ばれる本物の病気になることもある。インポスター症候群とは、自分は偽物だと感じ、どんな成功も自分の実力とは思えない症状だ。つまり、他人を信じさせることには成功しているが、自分を信じさせることには失敗している。この症状のもっと穏やかなバージョンなら、自信との付き合い方としては悪くないだろう。