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「売上を上げてきたのに、利益がほとんど変わらない。」「同じルールの下で同じ商売をしているのに、ものすごく儲かっている会社と倒産していく会社があるのはなぜか?」…このように考える中小企業の経営者やスタートアップの代表は多いでしょう。27才で売上高1億5千万円、自己資本比率15%の電気工事会社を父から引き継ぎ、その後、売上22億円、経常利益2億円、従業員240人の会社にまで成長させた株式会社九昭ホールディングス代表取締役・池上秀一氏の著書『資金繰りの不安がなくなり、自己資本比率が上がる! 付加価値額の教科書』(イースト・プレス)より、池上氏の経験に基づき導き出された経営メソッドを、一部抜粋して紹介します。

「ゴミのような会社」を引き継いで…

《この中で売上3億円以下・自己資本比率30%以下の会社の経営者は手を挙げてください。今、手を挙げている人はゴミのような会社の経営者です。早く会社を辞めたほうがいいです》

 

このセリフは私が27歳で家業を引き継ぎ、経営者として右も左もわかっていないときに参加した経営セミナーでの講師の言葉です。

 

このときの衝撃は35年以上が経った今でも忘れることができません。自分がまさにゴミのような会社を父親から受け継いでしまったド素人経営者であることに愕然とし、何とかしないといけないと強く思ったのです。

 

はじめまして。池上秀一と申します。私は現在、グループの持ち株会社である九昭ホールディングスをはじめ、7つの会社の代表取締役を務めています。

 

父親から引き継いだ九昭電設工業(以降、九昭)を35年以上かけて成長させ、さらに新規に設立した会社やM&Aによって事業展開をし、グループ全体で売上22億円、自己資本比率60%、従業員240人(グループ企業全体)を率いるまでになりました。

 

そうなれたのも冒頭でお伝えした講師の衝撃的な一言があったからです。当時、私は勤めていた東京の会社を退職し、実家のある小倉(北九州市)に戻ってきて2代目として父から事業を引き継いで間もないときでした。

 

「経営者としての第二の人生のスタート」と言えばカッコいいですが、実際のその頃の九昭は売上1億5,000万円、自己資本比率15%程度でした。

 

冒頭の講師の言葉を借りるなら、まさに“ゴミのような会社”だったのです。

売上22億円、経常利益2億円、従業員240人を率いるまで

日本全国の約420万社のうち、6割以上が赤字経営だといわれています。中には「税金を払いたくない」という理由で故意に赤字経営をしている会社もあります。しかし、本当に赤字経営で苦しみ悩んでいる経営者も多くいます。私もかつてはそんな経営者の1人でした。

 

その自分を奮い立たせてくれたのが講師の一言でした。それからは必死に働きました。それでも簡単にうまくいくはずもなく、悩み続ける毎日を送りました。色々な本を読んだり、業界の先輩方の話を聞きに行ったりしました。

 

話を聞きに行った先々でよく耳にした言葉が「粗利」という単語でした。みんな申し合わせたように「粗利、粗利」と言います。

 

そこで私は「粗利って何ですか?」「売上から何と何を引けばいいんですか?」と聞いて回りました。しかし、誰からも明快な返事が返ってきませんでした。みんなよくわかってないのに「粗利」という単語を使っていたのです。

 

それから十数年間ずっと「粗利とは何か?」の明快な答えが理解できないまま経営を続けてきましたが、必死の努力のおかげかそれなりに業績も上がってきました。

 

1億5,000万円の売上を10年ほどで3億円、そして5億円と上昇させました。しかし、思った通りの利益が出ずに悩む日々が続きました。

 

その頃の大きな疑問は「同じルールの下で同じ商売をしているのに、ものすごく儲かっている会社と倒産していく会社があるのはどうしてだろう?」でした。

 

売上を上げてきたのに3億円から5億円になっても利益がほとんど変わらない。忙しくなるばかりで、ちっとも儲からない。「もっと儲かりたい」「従業員が辞めずに長く働いてくれるような会社にしたい」「経営していく上で、もっといい仕組みがあるのではないか?」といつも考えていました。

 

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資金繰りの不安がなくなり、自己資本比率が上がる! 付加価値額の教科書

池上秀一

イースト・プレス

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