(※写真はイメージです/PIXTA)

介護施設で起こる事故のなかで、とても多いと言われるのが転倒・転落事故です。入所者が施設で怪我をした場合、責任の所在はどこにあるのか。怪我の責任が施設にあるものとして考えた際、損害賠償請求が認められる可能性はどんなポイントが重要なのか。そこで、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、家本誠弁護士に解説していただきました。

介護施設に過失があることを認めさせるには

相談者のMioさん(仮名)には80代の祖母がおり、認知症がかなり進行しているだけでなく、耳が殆ど聞こえていない状態で介護施設に入所しています。

 

その施設では、朝食の準備が整うと介護士が各部屋まで入所者を呼びに行き、テーブルまで誘導することになっていたようです。その際、身支度の介助が必要な入所者には介護士が部屋に入って介助するため、朝食前の食堂のホールには介護士がいない状況になります。

 

相談者の祖母は自分で着替えを済ませ、シルバーカーを引きながらホールに向かおうとしたとき、バランスを崩しそのまま転倒。転倒してから、発見されるまでに15分程放置されていたのが監視カメラで確認されています。

 

その後、救急搬送され大腿骨骨折という診断を受けました。

 

祖母が認知症であることや耳が不自由であることは、施設側でも周知の事ですので、無人の空間に放置すれば一人で出歩いてしまうことも想定できるはずです。朝食時に介護士が少ないことはわかりますが、ホールを無人状態にして事故があり、発見が遅れた事実について施設側に過失があり、入院諸経費や慰謝料を請求したいと考えています。

 

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

 

(1)介護施設に過失があることを認めさせることはできるのか。

 

(2)過失を認めさせた場合、どのくらいの慰謝料請求が可能か。


過失が認められる可能性が高い

介護施設に過失(責任)がある場合は、どんな場合か。

 

転倒を予見できたのか、予見できた場合、転倒を回避するための適切な措置を講じることができたのか、これらの点を踏まえて施設の過失を検討していくことになります。転倒された方は、認知症で耳が不自由とのことですが、これだけでは転倒が予見できたか否かは、明らかではありません。

 

シルバーカーを利用されていたとのことですが、これを使用しても歩行が不安定であったこと、認知症のため、職員の指示に従うことが難しかったこと、介護記録に転倒の危険性が以前から指摘されていること、転倒しそうになったことが以前に実際にあったことなどの事情が認められれば、今回の転倒について、施設の過失が認められる可能性が高くなります。

 

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