(※写真はイメージです/PIXTA)

介護施設で起こる事故のなかで、とても多いと言われるのが転倒・転落事故です。入所者が施設で怪我をした場合、責任の所在はどこにあるのか。怪我の責任が施設にあるものとして考えた際、損害賠償請求が認められる可能性はどんなポイントが重要なのか。そこで、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、家本誠弁護士に解説していただきました。

どのくらいの慰謝料請求が可能?

施設に過失があった場合、認められる慰謝料の額は、転倒された方のケガの程度によります。

 

高齢者の方が大腿骨を骨折された場合、寝たきりになる可能性が高くなります。この場合、後遺障害の問題も生じてきます。

 

施設に過失がある場合、入院諸費用(治療費や入院に伴う雑費)の請求が可能であり、入院期間、その後のリハビリ期間に応じて、慰謝料の請求も可能です。さらに大腿骨骨折により後遺障害が残った場合、その後遺障害の程度により、前記入通院の慰謝料とは別に慰謝料請求をすることが可能です。

 

本件では入通院の期間が分かりませんが、仮に入院2ヵ月、リハビリの通院期間が3ヵ月とした場合、裁判では150万円程度の慰謝料が認められます。また股関節に人工関節を入れる結果となった場合は、元々の足の機能の程度によって減額される可能性がありますが、500万円程度の慰謝料が認められる場合があります。

 

介護事故と違って交通事故の場合は、後遺障害の有無、程度を判断してくれる公的な機関があります。しかし介護施設での事故の場合、後遺障害の有無、程度について判断をしてくれる公的な機関はありません。

 

そのため施設に損害を請求する側で、後遺障害の有無、程度などを医学的に証明をする必要があるため、この証明が非常に難しい時があります。

 

例えば、大腿骨骨折の治療は終了したものの、入院期間が長期に及び、結果、寝たきりとなった場合、歩行機能が衰えたことと後遺障害の程度との関係では、どのように考えるのかという難しい問題があります。更には寝たきりになり肺機能が低下し、誤嚥による肺炎を繰り返し、その結果、死亡した場合、転倒に責任がある施設は、死亡という結果まで責任を負うのかという難しい問題があります。

 

特に転倒から肺炎による死亡までの期間が長い場合、施設の過失と死亡という結果との因果関係があるのかという法律上の難しい問題が生じます。

 

以上のことから、介護施設での転倒事故の場合、施設にどこまで責任追及が可能であるのかは、専門家である弁護士に相談されるのが良いと思います。

 

家本 誠

弁護士

 

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