夫婦が「老後破産」の道をたどった原因
石沢さんは、なぜこのような状態になってしまったのでしょうか。最大の要因は、経営計画の甘さ、そしてこの状況の問題点を把握できていなかったことにあります。
石沢さんは当初「夫婦二人で生活していけるだけの収入を得られればよい」と考えて店をオープンし、コーヒーとランチも驚くほどの安さで提供していました。そのおかげもあり近所の人を中心に集客には困りませんでしたが、一日あたりに提供できる食事の数は限られており、得られる利益があまりに少なすぎたのです。
毎日忙しく働いたものの実際の利益は月12万円程度
一日の売上はランチ、カフェ、珈琲豆の販売を合わせて3万円近くありましたが、そのうちの70%が仕入れであり、一日の平均の粗利は8,000円程度にしかならなかったのです。一時的に3万円が現金で入ってきますが、そこから当然仕入れやそのほかのコストを払わなければなりません。
さらに、そこから光熱費などの固定費を支払うことになり、毎月の利益としては多くても12万円程度にしかならなかったのです。
また、2年ほど経過したころには義父母の介護のために店を休業することも多くなり、事業から得られる利益は6万円程度にしかならないこともありました。その状況で店の備品や設備を買い替えることも必要になることがあったため、結局手元のお金を取り崩してしまうことになったのでした。
60歳からの繰上げ受給は65歳からの受給と比較し、30%減
そして、公的年金も60歳から受け取ればよいと考えていましたが、この判断も問題でした。
もし65歳から受け取っていれば2人で受け取ることができた公的年金の金額は夫の真人さんの分が17万5,000円、妻の美智子さんの分が6万5,000円程度と予想され、公的年金だけでも生活費としてはゆとりを持てていたはずでした。
しかし、それを繰り上げして受け取ってしまったため、30%減額されてしまい夫が約12万円、妻も4万5,000円程度で夫婦合計で16万5,000円程度となり、生活が苦しくなってしまったのでした。
カフェを始めてから5年間は石沢さんの月額約12万円の年金とカフェから得られる利益だけで、開業当初石沢さんは現役時代の所得で国民健康保険料が課せられており、当時55歳だった妻の美智子さんの国民年金保険料と合算し毎月約4万円の社会保険料の支払が必要な状態でした。
そして、その後も生活費を含め毎月10万円~15万円程度が赤字という状態になります。妻の美智子さんが60歳になり、公的年金を受給できる年齢になっても預金のマイナスは続いてしまっていました。
また、現金で3万円近くの売上があることで、「そこそこ収入がある」と勘違いしていたことも問題です。仕入れやそのほかのコストが発生してくるので、売上がそのまま手元に残るわけではありません。石沢さんの場合は原価率が70%近くとかなり薄利だったにもかかわらず、経理業務もどんぶり勘定で、それに気がついていなかったのです。
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