大手企業を勤め上げ、退職後は引きこもりに
田沢春子さん(仮名)は、65歳で長年勤務した大手企業を退職し、リタイア生活を送っています。
40代で離婚を経験したあとは子供もいなかったため独身のままでいました。もともとあまり人付き合いが好きなほうではない性格で、在職中も仕事以外では他人とあまり接点を持たずにいました。リタイア後は社会との接点が急激に減少したことで、ほとんど引きこもりのような状態になっていたのでした。
そんな田沢さんが老後の楽しみにしていたのが韓国ドラマでした。人付き合いが苦手とはいえ完全に人間関係がなくなってしまい孤独を感じていましたが、韓国ドラマに夢中になることで紛らわせていたのでした。
TVで放送されているドラマや、Netflixでお気に入りのドラマを観ている毎日で、外出といえば週に1~2回食材を買いに行く程度となっていました。そんな娘の様子を心配し、近所に住む田沢さんの80代の母親が週に一度、田沢さんの家へ様子をみにきます。母親は田沢さんにとって、唯一の肉親です。
しかし田沢さんは、母親に心配を掛けたくないと思いながらも、このまま独りで生きていくことの不安と、衰えを実感し健康の不安、そして今後のお金の不安を抱えていたのでした。
老人ホームには入れない…田沢さんの家計状況
人付き合いをせずに生きていく田沢さんにとって、リタイア後の生活費といえば食費や光熱費程度。誰かと旅行に行くこともなければランチしに行くこともなく、毎月16万円程度あれば生活していけます。
対して、田沢さんの公的年金は月額で大体13万円程度で、資産として現役時代からコツコツ貯蓄してきた1,500万円程度と退職金1,000万円、合計2,500万円程度あります。
公的年金だけでは生活費は毎月3万円程度が不足しているものの、100歳まで一生涯の生活費は足りると考えられます。
しかし、今後の医療費の負担が増えたり、介護が必要になったりと考えると不安があります。友人もいないため自宅で孤独死しても長期間気づかれないような不安もあるため、サポート付き高齢者住宅(サ高住)や老人ホームへの入居も考えますが、それだけの費用を捻出する余裕があるわけではありません。
そのため、今後どのように生活していけばいいのか、誰かに相談することもできずに独りで不安を抱えていたのでした。そんな娘の様子を見かねた母親が、娘の家計状況についてFPに相談します。
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