親権者はどうやって決まる?
離婚届には子どもの親権者を記入する欄があり、ここが空欄のままでは受理されません。つまり、親権者が決定していないことには離婚は成立しないことになります。
離婚に際して、親権者について夫婦のあいだで意見が一致していれば問題ないのですが、問題はどちらも親権を希望する場合です。
まずは夫婦間の話し合いで親権者を決めることを目指しますが、両者とも譲らない場合にはなかなか話し合いがまとまらず、2人とも疲弊することになってしまうでしょう。
こういった場合に避けなければならないのは、平行線の話し合いに疲れ果ててしまい、話し合いを早く終わらせるために「ここは一旦親権を譲って、親権者変更調停でまた争えばいいか」と、安易に親権を譲ってしまうことです。
たしかに、離婚後の親権者変更という制度は存在していますが、親権者が一度確定したあとでそれを変更することは、親権の獲得よりもはるかに難しいです。
それは、離婚後、新しい生活を再建してしまったあとであれば、せっかく子どもが馴染んだ環境を変えるメリットは少なく、デメリットのほうが上回ると判断されてしまうことが多いためです。
そのため、どんなにつらい話し合いでも譲らず、なにがなんでも親権をとるという強い意志を持ち続けることが重要です。
そして話し合いでどうしてもまとまらない場合には、調停や裁判によって親権者が決定されます。
一般に親権者は「母親」が有利
調停や裁判では、父親と母親のどちらが親権者となったほうが子どもの福祉という観点からみてより適切かということを基準として親権者を決定します。そのため、子どもの養育に関わるさまざまな事情を考慮して、どちらのほうが親権者にふさわしいかを総合的に判断します。
子どもの養育に関わる重要な要素としてまず挙げられるのは、子どもをしっかり養い育てるという意欲です。これに関しては、親権を巡って争うケースでは多くの場合父母ともに十分備えているでしょう。
しかし子どもを気持ちだけで育てていくことはできませんので、収入や心身の状態、子どもの世話や教育をする時間が十分にとれるかなどを含めた、実際に子どもを育てていく能力や環境が整っているかが重要となります。
これらに加えて、これまでに父母のどちらが実際に子どもの世話を主に行ってきたのかという点も重視されます。これは、子どもの現状を尊重して、これまで育ってきた環境を特別な事情のない限りできるだけ維持するべきであると考えられているからです。
また、子どもとの精神的な繋がりも非常に重要で、子どもの強い希望がある場合にはそれも重要な判断基準となります。
現在、日本においては多くの家庭で父親がフルタイムで働き、主に子どもの監護を担っているのは、専業主婦や時短勤務などで仕事量を調整することができる母親ではないでしょうか。
そのため一般的には、これまで主に子どもの世話をしてきた母親が親権をとるのには非常に有利な立場にあると考えられます。
父親が親権を希望するケース
冒頭でも紹介したとおり、一般的に子どもの親権を得るのは母親の方が圧倒的に多いです。しかしなかには、どうしても親権を母親には渡したくないというケースもあります。父親が親権を希望するケースは、下記の2つのパターンに大きくわかれます。
母親側に問題があって、子どもを任せられない
母親が子どもを虐待している、育児や家事を放棄していて十分に子どもの世話をしていないなど、母親側の監護状況に問題があって、離婚後子どもを安心して任せられないというパターンです。
この場合は、母親の育児放棄や虐待の証明などができれば親権を獲得するのは比較的容易に進む場合が多いでしょう。
父母ともに問題はないけれど、どちらも親権は譲れないという場合
母親に重大な問題があるわけではないけれど、父親としても親権は譲りたくないというケースもあります。
この場合親権を獲得できるかどうかは、どちらが親権者になったほうが子どもの利益にかなうのか、ということにかかってきます。
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