税務調査官「残念ですが、認められません」…年金月30万円の80代夫婦、最愛の孫へ「毎年100万円」を贈与→まさかの事態に妻、絶句【税理士が警告】

税務調査官「残念ですが、認められません」…年金月30万円の80代夫婦、最愛の孫へ「毎年100万円」を贈与→まさかの事態に妻、絶句【税理士が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

老後資金に余裕がある場合、非課税で贈与できる年110万円の範囲内で、子や孫に生前贈与する人は多いでしょう。しかし、方法を誤ると、のちのち税務調査で掘り返されてしまい、ペナルティを受けてしまいます。そこで今回、A夫妻の事例をもとに、生前贈与の注意点をみていきましょう。多賀谷会計事務所の現役税理士・CFPの宮路幸人氏が解説します。

かわいい孫の誕生をきっかけに、「生前贈与」を始めたA夫妻

81歳のAさんは、妻のBさん(80歳)と2人暮らしでした。Aさんは現役時代、上場企業で部長を務めており、BさんはAさんと結婚後、専業主婦として家庭を支えていました。

 

Aさんは定年後、趣味のゴルフに興じたり、奥さんと2人で温泉旅行に出かけたりと “悠々自適な老後”を謳歌。そんななか、ひとり息子Cさんが35歳(Aさん70歳、Bさん69歳)でめでたく結婚し、翌年には念願の初孫が誕生しました。

 

孫ができたことから、「贅沢をしていた分は孫のために使おう」と考えたA夫妻。預金は2,000万円ほどあり、年金受給額は2人合わせて月額30万円ほど。贅沢しなければ、年金だけで暮らしていけそうです。

 

Aさんは、以前知り合いが「相続税で大金を持っていかれるのは悔しいよな。だから俺は元気なうちに生前贈与して、子どもたちから感謝されるほうを選ぶよ。それに、年間110万円までは税金もかからないしな」と言っていたことを思い出しました。そこで、相続税対策も兼ねて、愛する孫へ「生前贈与」をすることに決めたそうです。

 

それからA夫妻は、孫名義の口座を開設。ゴルフや旅行の回数をセーブしながらコツコツお金を貯め、毎年1月4日(銀行の営業開始初日)に100万円を入金していました。

 

「孫の高校卒業祝いにこの通帳を渡そう。きっと喜ぶに違いない……」

 

Aさんは、愛する孫の喜ぶ顔を想像しながら入金を続けていました。しかし、贈与開始から10年後、Aさんは81歳で逝去。口座には1,000万円が貯まっていました。Aさんが亡くなって以降、Bさんはその口座に手をつけることなく、孫の18歳の誕生日に渡すという夫婦の約束を守るため、大事にしまっていたそうです。

 

その2年後。Bさんのもとに1本の電話が……税務署から「相続税の調査に伺いたい」との連絡でした。そして調査の結果、なんと孫に対する10年間の生前贈与が否認。追徴税額300万円を課されてしまったのでした。

 

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