「順式」に比べてやや難しい「逆腹式呼吸法」
前回に続いて、ここでは「逆腹式呼吸法」の行い方を紹介します。
一般的な腹式呼吸法、つまり「順式」の腹式呼吸は、息を吐くときにお腹を引っ込めて、息を吸うときにお腹を膨らませることを意識する呼吸法です。
「逆式」の腹式呼吸はその反対で「息を吐くときにお腹を膨らませ、吸うときにお腹を引っ込める」という動きになります。順腹式呼吸法に比べると、やや難しく感じる人もいるかもしれません。
【逆腹式呼吸を行う方法】
①椅子などに腰かけます。
②肺の中の空気を出し切るイメージで、息を吐き切りましょう。からだの力を抜いて、できる限りリラックスします。息を吐き切ったら、ゆっくりと鼻から息を吸い、お腹をへこませます(肛門を締めるようイメージで)。
③息を吸い切ったら、静かにゆっくりと息を吐きます(口からでも鼻からでもよい)。同時に、絞ったお腹と肛門をゆるめてリラックスします(へこませたお腹が膨らみます)。
④①~③を約30回繰り返します。慣れてきたら回数を多くしてもよいでしょう。
【図表 逆腹式呼吸】
「トイレで排便をする感覚」を思い出す
1日1回、逆腹式呼吸を続けてみるのもよいでしょう。逆腹式呼吸を行う際には、姿勢が伸びている必要があるので、姿勢を正す練習にもなります。この呼吸法をなかなか体得できない場合は、「トイレで排便をする感覚」を思い出してみてください。普段、胸式呼吸をしている人でも、排便時には自然と逆腹式呼吸に切り替わっています。
排便時にいきむ瞬間は、通常「お腹に力を込めてへこませる」ことになります。呼吸は、お腹をへこませながら、息を吸っています。そして排便が終わると、緊張がゆるんでお腹が膨らみます。そのとき、無意識のうちに息を吐き出しているはずです。
つまり、排便時には「息を吸うとお腹がへこみ、息を吐き出すとお腹が膨らむ」という逆腹式呼吸を自然に行っていることになります。
また、トイレ以外の場で集中しなければならないとき、排便時のからだの動きや呼吸の仕方をイメージすれば、自然にうまく逆腹式呼吸を行うことができるようになります。