「そこそこ頑張る人」がベスト…“会社が求める人材”と“職場で好まれる人材”が乖離するワケ【同志社大学教授が解説】

「そこそこ頑張る人」がベスト…“会社が求める人材”と“職場で好まれる人材”が乖離するワケ【同志社大学教授が解説】
※画像はイメージです/PIXTA

チャレンジ精神溢れる人材を求める企業は多いでしょう。しかし、そのような人は、同僚としてはあまり歓迎されないようで……。本記事では、同志社大学政策学部・同大学院総合政策科学研究科教授の太田肇氏による著書『何もしないほうが得な日本 社会に広がる「消極的利己主義」の構造』(PHP研究所)から、調査データから職場の人間関係について解説します。

「がんばりすぎ」がよくない本当の理由

職場の人間関係に関する有名な古典的研究として知られているのが、「ホーソン研究」「ホーソン実験」である。

 

アメリカのウェスタン・エレクトリック社ホーソン工場で行われたこの研究(実験)では、職場のなかに制度として定められた公式組織とは別に仲間どうしの非公式な組織が存在し、そのなかで形成される暗黙の規範が生産性を左右していることが明らかになった。

 

その規範とは、サボってはいけないが、がんばりすぎてもいけないというものだ。だれかがサボると、ほかの仲間の足を引っ張るので迷惑をかける。逆にがんばりすぎても、ほかの人が同じようにがんばらなければならなくなるので迷惑になる。

 

したがってサボりもがんばりすぎもしない、「そこそこ」の働き方が要求されるわけである。

 

これはアメリカで行われた研究だが、仕事を進めるうえでも、イデオロギーの面でもいっそう集団主義的な性格が強い日本企業では、暗黙の規範による束縛はいっそう強いと想像される。

 

 

太田 肇

同志社大学政策学部・同大学院総合政策科学研究科

教授

 

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PHP研究所

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