強制をやめたら参加者が増える「金魚すくいの法則」
自由参加にするとしたら、多くの人が懸念するのは参加者が減り、組織が機能しなくなることだろう。消極的な参加者が大半を占める現状のもとで、自由参加にしたらますます参加する人が減ると考えるのはもっともだ。
しかし興味深いことに、組織への囲い込みをやめ、強制色をなくしたところ、積極的に参加する人が増えたというケースが少なくない。義務的な参加ではなく、自己決定で参加しているという感覚があるからだろう。
私はそれを「金魚すくいの法則」と呼んでいる※3。金魚すくいを見ていると、下手な人は、網を持って金魚を追い回す。すると金魚は逃げ回り、いつまでたってもすくえない。いっぽう上手な人は金魚が近づいてくるのを待って、近づいてきたらサッとすくう。
それと同じように、人も強制的に参加させようとすると反発し、意識的に距離をとろうとする。なかには意地になって参加を拒む人もいる。逆に自由参加にすると反発や警戒心がなくなり、自発的に参加してみようという気持ちになる。隠れていた参加意欲が呼び起こされるのだ。
※3:太田肇『「見せかけの勤勉」の正体』PHP研究所、2010年、第5章
組織や集団で、「金魚すくいの法則」を活用している例
ある小学校のPTAは選挙で役員を選ぶ方式から、前記(3)の自己申告による選択方式に切り替えたところ行事への参加者が急増したという。行事に参加すると周囲から熱心な人だと見られ、選挙などで役員に選ばれるのではないか、という心配がなくなったからだと考えられる。
また東京都の武蔵野市は他自治体のような町内会組織を置かず、地域活動は基本的にボランティアが担っている。そしてボランティアになじまない業務は行政が主体となり行っている。
同市にはボランティアの地域住民によって組織されたコミュニティ協議会が設けられており、市の人口の約1%が運営に関わるなど、住民の参加意欲は高い。
高校では近年、勝利にこだわらず、参加も自由な「ゆる部活」「フリースポーツクラブ」という部活動が人気を集めている。
大学でも伝統的な運動部の多くは部員の減少傾向が続き、部の存続さえ危ぶまれている一方、参加が自由なサークル活動は活況を呈している。アルバイト、ダブルスクールなど大学外の活動で忙しく、拘束の多い部活を敬遠する学生が増えていることが背景にある。
ちなみに同じような現象は家庭でも、企業社会でも見られる。表れ方は多少違っても、「金魚すくいの法則」はあらゆる組織や集団に当てはまる法則だといえよう。
太田 肇
同志社大学政策学部・同大学院総合政策科学研究科
教授
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