決算書はゴール?社長と銀行員との“意識のずれ”
決算書を見ながらの面談では、社長と融資担当者とが互いに協力することが重要ですが、しばしばそれが難しいと感じるときがあります。というのも、お互いの意識のずれを感じる場面があるからです。
決算書を作成するのは労力のいることなので、社長は決算書が出来上がって税務署に申告すると、「今年も無事に終わった」とゴールを切った気持ちになるようです。しばらく解放感を味わったら、次は来期に向けてまた走りださねばなりません。つまり、決算書を銀行に持ってきた時点で社長の意識は次の年度に移っているのです。
それに対して銀行は決算書を受け取ってからがスタートです。決算書を細かく分析して事業性や返済能力を割り出していかねばなりません。
この両者の意識のずれは思いのほか大きいと感じます。
融資担当者は「この数字はなぜこうなっているのですか」など気になる点を社長に質問しますが、社長にとってはすでに「過去の数字」なのであまり興味がもてません。答え方にも身が入っていなかったり、「今さら、過去のことを言われても……」と言いたい気持ちが垣間見えたりします。
そういうとき、こちらも「ああ、面倒くさいと思われているのだろうな」「細かい人間だと思われているな」と思ってしまいます。
こういう気持ちのすれ違いがあると変な距離感が生まれ、聞きたいことが聞けなかったり、伝えたいことが伝えられなかったりすることが多くなります。二人三脚で走るためには距離感はないほうがいいことはいうまでもありません。お互いに相手の立場を理解し、歩み寄る姿勢が大事になってきます。
川居 宗則
中小企業診断士
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら